2019.7.31 12:04

【ラグビーコラム】清宮副会長の「新プロリーグ構想」 日本の概念を覆す

【ラグビーコラム】

清宮副会長の「新プロリーグ構想」 日本の概念を覆す

特集:
ノーサイドの精神
日本ラグビー協会の清宮克幸副会長 

日本ラグビー協会の清宮克幸副会長 【拡大】

 【ノーサイドの精神】日本代表がパシフィック・ネーションズ杯でフィジー代表に快勝した翌日の7月28日、日本協会副会長に就任した清宮克幸氏が、東京都内で開かれたスポーツ関連のシンポジウム「Sports X conference 2019」で、壮大な新プロリーグの構想を明らかにした。

 詳細は7月29日のニュースにも書いたが、ざっといえば、9月開幕のW杯12会場を「オリジン12」と名付け、そこを軸に各地にプロチームを設立。2021年秋開幕のプロリーグを立ち上げる。参入チームは(1)ラグビーに特化した法人(2)ホームスタジアムの存在(3)地元自治体の協力(4)年少世代の育成システム-といった必要条件も設け、参入には審査もある-という内容。

 15年W杯で日本は南アフリカを破るなど3勝と大躍進。一時的にラグビー人気が沸騰した。しかし、その後はトップリーグ(TL)観客数がジリ貧で、日本協会も赤字決算が続く現状に、清宮副会長は相当な危機感を抱く。TLのチームにはこのシンポジウムの3日前に詳細を説明したそうで、おおむね好感触を得たという。来年のパラリンピック終了直後に、数チームによるプレ大会を開催する方向だ。

 「11月のW杯終了後には、概要を発表できるようにしたい」

 そう語るように、清宮副会長が最も重視するのがスピードだ。それはもちろん、日本でアジア初のW杯が開催されるという千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかないからだ。

 まさに世界のトップが激突するW杯は、日本のファンがこれまで見てきたような試合とは、スキルレベルや雰囲気まで、格段にハイグレードなものになるはずだ。そして清宮副会長は新プロリーグも「世界最高のラグビーを間近で見られる場」にしたいと考える。

 そのためのいろいろな腹案もある。2020年限りでスーパーラグビー(SR)から除外される日本チームのサンウルブズを参入させる可能性を示唆。それだけではなく、他国のSRチームの参入も歓迎する。シーズンはSRとかぶらないように9月~翌年1月ごろに設定。いろいろな話を総合すると、著名な外国人選手も多く参戦しにくるのではないかと予想される。外国人枠も設けず、チームによっては外国人選手の比率の方が多くなる場合もあるのではないか。逆に、日本選手がこれまで以上にSRの強豪などに参加できる道筋もつきそうだ。従来のTLは、いわゆるアマチュアの企業スポーツとして残す方向。

 清宮副会長のブレーンには、バスケットボールBリーグの立ち上げに尽力し、法務関係のスペシャリストでもある境田正樹氏が今回日本協会理事に加わり、片腕として動く。さらに、ビッグデータをマネジメントやマーケティングに生かそうということで、AI(人工知能)の専門家である東大の松尾豊教授ともタッグを組む。これまでの日本ラグビーの概念から、大きく飛び出したものが生まれそうで、「これまでラグビーにかかわりがなかった人たちを巻き込めるようになる」と清宮副会長。彼の最大の武器は、こういった“巻き込み力”にあると筆者は感じている。

 「やるしかない。僕の中ではこれしかない」

 やるといったら、やる。清宮克幸は、そういう男だ。

田中 浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像 1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の58歳。