2019.4.24 12:00

【ラグビーコラム】「ウルフパック」がハリケーンズBに快勝も…不満が残る試合強度

【ラグビーコラム】

「ウルフパック」がハリケーンズBに快勝も…不満が残る試合強度

特集:
ノーサイドの精神
ウルフパック対ハリケーンズBで前半、突進するアマナキ・レレイ・マフィ

ウルフパック対ハリケーンズBで前半、突進するアマナキ・レレイ・マフィ【拡大】

 【ノーサイドの精神】サンウルブズと並行してW杯への強化を行う特別チームの「ウルフパック」が、20日に千葉・市原市でスーパーラグビー(SR)・ハリケーンズ(ニュージーランド=NZ)B(下部チーム)と強化試合を行い、66-21で大勝した。ゼットエーオリプリスタジアムには4000人を超える観衆も集まった。

 10トライを奪う快勝にお客さんも喜んでいたが、ちょっと気になるのはハリケーンズBの実力だ。この前日、SRでサンウルブズと対戦し、29-23で逆転勝ちしたハリケーンズはNZカンファレンス2位につけるが、NZ代表オールブラックスは先発に4人だけ。SHのTJ・ペレナラ主将の55キャップは別格だが、4人の総キャップ数は75。FLサベアや、SOボーデン、FBジョーディーのバレット兄弟、WTBミルナースカッダーらオールブラックスの常連は不出場。結構な若手メンバー(FWは特に)だった。

 ハリケーンズBはさらにその控えになる。ハリケーンズの正規スコッドに入っている選手も、それほど多くはない。「U-20(20歳以下)に近いんじゃないの」というすげない巷の声もあったが、キックオフからノックオンのミスを逆襲され開始24秒で先制トライを献上したのはいただけなかったとしても、「この程度」の相手に完勝するだけの力を、今の時点で持っていることは確認できた。

 ウルフパックは27日のウェスタンフォース(オーストラリア)戦を含めて残り3試合。強度という点ではどうしても物足りなさを感じてしまう。「段階というものがある」とジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチは言いそうだが、この時期にこの強度の試合をしていていいのかという不安というか不満も感じる。

 右足甲の疲労骨折が治り、ウルフパックからサンウルブズに今季初合流したHO堀江翔太(パナソニック)は「W杯を考えれば、よりレベルの高いサンウルブズの試合に出る方がいい」と話す。ウルフパックのシリーズが終了した後のサンウルブズは4試合。その後のテストマッチ4試合で、どこまでW杯に近い強度の試合ができるか。

 SRのチームはNZを中心に、W杯への準備のために代表選手をある程度休ませる傾向が強い。これに対して北半球ではイングランドのプレミアシップ、フランスのトップ14など、各国の代表組がバリバリ出場している。W杯を控えたこの時期の試合強度に関してはどこのチームも頭を悩ましているだろうが、どちらがよかったかは、あと5カ月を切った大会本番で示される。

田中 浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像  1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当、一般スポーツ担当デスクなどを経て、2014年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の58歳。