2019.3.27 11:27

【ラグビーコラム】はじめに除外ありきだったのか、サンウルブズのSR参戦問題

【ラグビーコラム】

はじめに除外ありきだったのか、サンウルブズのSR参戦問題

特集:
ノーサイドの精神

 【ノーサイドの精神】はじめに除外ありき-ではなかったろうか。2020年でスーパーラグビー(SR)の参戦契約が満了するサンウルブズの、21年以降の新規参戦はならなかった。

 SRを主催するSANZAAR(サンザー)は21年から、現行の15チーム3カンファレンスの大会方式を14チームによる総当たりに変更するプランを持つ。オーストラリアのテレビ局などの意向もあり、その場合、放映権料が増大するからだ。

 そして、サンウルブズの新規参戦契約は“不平等条約”といってもいいものだった。14チーム総当たりでなく、サンウルブズが残留して現行の方式が維持される場合、日本側が増加するはずだった放映権料の分を負担すること。地理的に遠い日本との対戦について、これまでは主催者が負担していた渡航費などを日本側が負担すること。各チームに運営費として入る放映権料は現状と変わらず分配されないこと。何よりも、日本はサンザーのボードメンバーに入れてもらっていない。決定権がないのだ。

 ただ、サンウルブズ側にも弱みはある。参戦初年度の16年は1勝、17年は2勝、18年は3勝。サンザーからは常に「コンペティティブ(競争力を持つ)なチームにせよ」と勧告を受け続けてきた。サンザーの眼鏡にかなうチームにならなかったという見方もできる。

 1996年に鳴り物入りで始まったSRも、このところは観客動員に伸び悩み、凋落傾向がみられる。ニュージーランドの聖地、5万人収容のオークランドのイーデンパーク(ブルースのホームスタジアム)も、悲惨なほど空席が目立ち、いまや恒常的に1万人を超える観衆が集まるのは秩父宮だけといっていい。

 だから、今回の事態は日本側にとって“泥舟”から逃げ出すいい機会だと、前向きにとらえられないこともない。ただ、問題なのは日本協会にはこれを好機として次の手に打って出る決断や気概といったものが、決定的に欠けていることだ。

 かつてはアマチュアリズムの権化といわれたラグビーにも、スポーツビジネスの大波が訪れて久しい。ビジネスとしてのラグビーに対応できるだけの思考や人材もなく、翻弄された結果がこの除外問題といえる。

 日本代表の強化という本分を忘れてはならず、そのために最善の道はどこにあるのか。協会には今回の事態を反面教師として、「百年の計」をもって対処してもらいたい。

田中 浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像 1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の58歳。