2019.1.23 11:45

【ラグビーコラム】平成の王者が“下野”した変革のシーズンが終了、W杯イヤーへ協会の決意に期待

【ラグビーコラム】

平成の王者が“下野”した変革のシーズンが終了、W杯イヤーへ協会の決意に期待

特集:
ノーサイドの精神
優勝したトヨタ自動車の選手らは歓喜にわいた

優勝したトヨタ自動車の選手らは歓喜にわいた【拡大】

 【ノーサイドの精神】国内のラグビーシーズンは、19日のトップリーグ(TL)カップ最終日で閉幕した。最後の勝者はトヨタ自動車。20シーズン見放されてきた「優勝」を果たした。TLレギュラーシーズンでは、神戸製鋼が15季ぶりに王座を奪回。大学選手権を制した明大も22年ぶりの優勝だった。平成ラストシーズンは、サントリー、パナソニック、帝京大と時代を盛り上げたチームが“下野”する変革のシーズンだった。

 W杯イヤーを迎える来季は、TLが開幕を来年1月に変更。変革の動きが続く中で、日本ラグビー協会には“TLネクスト”という構想がある。現在のTLの大会方式を大きく見直し、W杯日本大会後の時代に即した新たなリーグを模索している。

 変革の内容については検討が続いている。参加チーム数、運営権のチームへの譲渡、ホームタウン制など広範囲な項目が浮上しているが、実現にはかなり高いハードルがある。なぜなら、参画チームごとに価値観の大きな隔たりがあるからだ。

 例えばチーム数の変更だが、現在の16チームからの拡大を求める声がある一方で、実力格差を理由に現在よりも“少数精鋭”を求める声もある。運営権や、本拠地となる試合会場の確保は、現状以上にプロに近いチーム運営を求めることになるが、このプロ化もチームの足並みはそろっていない。

 プロリーグとして誕生したサッカーのJリーグの発足を振り返れば、川渕三郎という強いリーダーのもとに、社会人チームを保有するチームなどと激しく対立しながら、リーグ誕生を実現した。だが“ネクスト”は、代表者会議など参画チームのスタッフらが審議、検討をしている。一見民主的のようだが、参加メンバーは所属企業やチームの利害を優先するのが当然だ。足並みがそろわなくても不思議ではない。

 もし、本気で日本ラグビーの歴史、未来をも変える大きな変革をめざすなら、まず協会側が明確なビジョンを持つ必要がある。そこには、当然責任も伴うことになる。TLの観客動員は、W杯開催前でも期待される増加はない。「一生に1度」というビッグイベントを前にしても閉塞(へいそく)感がある。この状況を打破する決意、そして骨太な理念を、どう打ち出していくか。協会の決意に期待したい。

吉田 宏(よしだ・ひろし)

「吉田 宏」イメージ画像 元号が平成に変わった年に入社して、1995年ラグビーW杯後から、サッカー、野球担当を挟みながら現担当。“軟式ラグビー(自称)”出身で、こちらも自称の江戸川キャップ2を誇る。99年W杯の報道陣による南北半球決戦・プレスマッチで、なぜか南半球の一員で世界制覇を果たして現役を引退してからは、書き手専門で楕円(だえん)球を追う毎日。

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