前半、トライを決める帝京大・元田翔太=相模原ギオンスタジアム(撮影・山田俊介)【拡大】
後半40分、慶大に4本目のトライを奪われ31-28の3点差に迫られると、帝京大HO堀越康介主将(4年)は円陣で声をかけた。
「このクロスゲームをしっかり楽しもう」
3分間のロスタイム。赤いジャージーは慶大の黒黄ジャージーに食らいついて反撃を止め続け、逆転を許さなかった。
21-14の前半38分には、今季初めてPGを狙わせた。WTB竹山晃暉(3年)が右中間25メートルから成功。堀越の「ラインアウトにして攻めようかとも迷ったが、10点差にすることで後半に響いてくる」という判断は、結果的に吉と出た。
大学選手権9連覇を狙うシーズンの主将に任命されたが、春はアジア選手権の日本代表に選ばれるなどしてチームを留守にすることが多かった。岩出雅之監督(59)から「誰もついてきてくれんぞ」と諭され、悩んだが「自分のやれることをひたむきにやる」と決意。1年生の負担をさらに減らすなど、雰囲気づくりにも気を配った。
監督からは「口べただから鍛えてやらないと」などといじられ、苦笑いする主将。次戦の明大に勝てば対抗戦7連覇が決まる。「明大はしぶといチームになってきたけど、しぶとさでは80分負けるつもりはない」。王者の矜持(きょうじ)で立ち向かう。 (田中浩)