正確なキックで、同大を開幕4連勝に導いたSO渡邉。次は京産大を仕留める!=鶴見緑地(撮影・岡田亮二)【拡大】
関西大学リーグ(2日、摂南大21-35同大、鶴見緑地)角度がほとんどなくても、苦にしない。同点で迎えた後半20分。同大FWがこの日3本目のスクラムトライを左中間に決めると、この男の見せ場だ。ゴールキックでSO渡邉が左足を振り抜く。楕円球がゴールポストのクロスバーの上を越えると、同大応援席から大きな歓声が上がった。
「キック力(自体)はあんまりですが、精度には自信がある。ゴールキックにも、自信があります」
どちらに流れが傾くか分からない展開で、その正確なキックが光った。3分後にもラインアウトモールからトライが生まれると、再び難しい角度からゴールキックを決め、14点差に。この日、計5本をすべて決めた“職人”を、山神孝志監督(47)も「低いキックを意識して練習していた。上手だし、素晴らしかった」と称えた。
本場仕込みのラガーマンだ。中学からニュージーランドに留学。高校在学中にはU-18カンタベリー州選抜に選ばれた。「裏に(ボールを)蹴っとけとか、ずっと言われていたんで」。キックを多用するプレースタイルは、その影響だ。
前日1日に日本代表と対戦したニュージーランド先住民マオリ系の代表マオリ・オールブラックスのCTBジェームズ・ロウ(22)とSOマーティ・マッケンジー(22)とは対戦経験がある。2人の活躍をテレビ観戦し刺激を受けた。摂南大はトンガからの留学生を擁していたが、かつて味わった本場のプレッシャーに比べれば、臆するものはなかった。
「(外国人に対する免疫は)あるっちゃ、あるんで。仕掛けてくると分かってたので、ディフェンスをがんばりました」
これで4戦全勝は京産大、関学大と3校。次からは、いよいよその京産大(15日)、関学大(23日)と激突する。逆輸入3年生が、正確無比なゴールキックを積み重ねれば、7季ぶりの優勝も見えてくる。 (芦田航)
(紙面から)