2019年W杯、元日本代表・五郎丸歩が心配すること

ラグビーコラム
ラグビーワールドカップ開幕500日前デイカウンター除幕セレモニーに出席した五郎丸歩

 【ノーサイドの精神】7日に横浜市で行われたイベントで、元日本代表FB五郎丸歩(32)=ヤマハ発動機=が、心配そうに口を開いた。

 「W杯(日本大会)まで1年近くですけど、盛り上がりはまだまだみたいに感じる」

 2015年W杯での日本代表の躍進、そしてチームの象徴のような存在として社会現象にもなった“ヒーロー”だが、日本社会の中でラグビーの置かれた現状を客観的に見つめている。

 自身の“フィーバー”の中でも、常に口にしてきたのは「日本の中で、ラグビーを文化的な位置に引き上げたい」ということ。イングランドやニュージーランドのように、1つのスポーツという領域だけではなく、社会の中で揺るぎない存在価値のあるものにしたい。こんな思いも、15年W杯以降の五郎丸のメディア露出を後押ししてきた。

 だが、W杯という、ラグビーファン以外でも関心を持てる世界規模のイベントが近づく中で、五郎丸自身は、十分な熱気を感じ取れていないのが実情だ。「もう(開幕まで)1年になる。でも、サポートしたい企業や人はたくさんいる。そういう人を、うまく取り込んでほしいですね。僕個人でも、やれる部分はやっていきたいし、協会主導でそういう活動ができれば」ともどかしそうに語った。

 現状で五郎丸に、ラグビー協会やW杯組織委員会からW杯日本大会を盛り上げることを目的とした相談は届いてないという。現役選手である限り、チームの勝利、その勝利に貢献できるプレーをするために練習を積むことが最優先なのは当然のことだ。その中で、五郎丸は「僕も、そして他の(2015年W杯)メンバーも、何かできることがあれば協力したいという気持ちです」と訴える。

 もちろん協会、組織委員会でも、W杯開幕1年前となる9月20日へ向けて、各種イベントなどを検討、準備はしている。結果的に盛り上がりをみせたサッカーW杯が終わり、関係者には、いよいよ次はラグビーだという思いもあるだろう。

 要は、ラグビーに興味がない人たちや、多少気になっていても、試合を観戦しに行ったことがないような層に、どこまで関心を持たせることができるかだ。日本ラグビー界、そしてW杯が行われる地域の関係者に求められるのは“発信力”だろう。五郎丸や15年W杯を盛上げたメンバー、そして19年に挑む選手たちに、本人を困らせるくらいの相談、イベント参加のオファーが来ないようでは、発信は難しいだろう。

吉田 宏(よしだ・ひろし)

 元号が平成に変わった年に入社して、1995年ラグビーW杯後から、サッカー、野球担当を挟みながら現担当。“軟式ラグビー(自称)”出身で、こちらも自称の江戸川キャップ2を誇る。99年W杯の報道陣による南北半球決戦・プレスマッチで、なぜか南半球の一員で世界制覇を果たして現役を引退してからは、書き手専門で楕円(だえん)球を追う毎日。

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