サッカーW杯で感じた「終わらせ方」の難しさ、ラグビーW杯で日本はどう終わらせる?

ラグビーコラム
日本対ポーランド戦で指示を出す西野朗監督=ロシア・ボルゴグラード

 【ノーサイドの精神】つくづく「終わらせ方」は難しいと感じた。サッカーW杯の日本代表のことだ。日本時間7月3日未明の、ベルギーとの決勝トーナメント1回戦。2点をリードしながら3点を奪われる壮絶な逆転負けを喫した。その前の試合、16強を決めた1次リーグ最終戦のポーランド戦は、0-1で負けていながら他会場のコロンビア-セネガルの状況を考え、残り10分ほどはあえてリスクを冒さず、ゆるゆるとしたパス回しでそのまま試合を終了させた。

 ベルギー戦のあやは、さまざまなところにあっただろうが、筆者が一番強く感じたのは最後の日本のCK。本田が蹴ったボールを相手GKに前を向いたままキャッチされた。素早く状況判断できる体勢ですぐにつながれ、カウンターで決勝点を奪われた。このシーンでの日本は前がかりになっていたことは確かだが、CKがほんの少し左右にずれて日本がもっとプレッシャーをかけられていれば、延長戦になっていただろう。そもそも後半終了まで残り30秒ぐらいだったから、ボールをキープしてホイッスルを待てばよかったという声も多いだろうが、試合の中での感覚で、「90分で決めなくては勝てない」という思いも選手たちにあったのかもしれない。

 ポーランド戦については、いろいろな批判がある。国際サッカー連盟(FIFA)の行動規範の中には「勝利は全ての試合の目的である」という項目があり、それを引き合いに出してポーランド戦の日本は「悪」であるという論調も見られたが、そもそもスポーツの戦術を善悪で論じるのには違和感を覚える。「勝利」が意味するところも「次戦への進出」と考えることもでき、スコアで劣っても次に進める状況があるのなら、日本の選択も是といえるだろう。いずれにせよ、難しい問題ではある。

 さて、本稿はラグビーについてのコラムであるから、そろそろラグビーについて書こう。

 ラグビーとサッカーが大きく違うことの一つが、守りに徹して勝利を得るというサッカーではよくあることが、ラグビーではほとんど不可能なこと。攻める時間を相手より同等以上にしなければいずれはスコアで劣ることになり、相手がボールキープしようともくろんだ場合、簡単には奪取できないような競技の仕組みになっているためだ。統計をとったことはないが、ボール保持率2対8で2の方が勝ったことなど、おそらくないはずだ。

 リードしていながらも1トライで逆転されるような試合の「終わらせ方」も難しい。相手にボールを渡したくないが、自陣深くに押し込まれていた場合、やはり地域を押し戻したい。とにかく敵陣で。それ以前に、8点差以上をつけて試合最終盤を迎えよう。

 サッカーのベルギーに相当するのは、来年のW杯での日本の対戦相手ならアイルランド。西野ジャパンのように、リードする展開になってほしいものだが、ジェイミー・ジャパンはそのとき、どんな「終わらせ方」をしてくれるだろうか。

田中 浩(たなか・ひろし)

 1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の57歳。

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