2020年のジャパンカップでGⅠ9勝目を飾ったアーモンドアイ(中央)。歴代最高得票率で顕彰馬に選出された JRAは6日、2023年度の顕彰馬を発表し、芝GⅠ9勝を挙げたアーモンドアイ(牝8)が有効投票数207票中200票を集め、歴代最高得票率となる96.6%で選定された。殿堂入りは20年キタサンブラック以来で、史上35頭目となる。
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名牝がまた一つ、競馬史に名を刻んだ。国内外で歴代最多の芝GⅠ9勝を挙げたアーモンドアイが顕彰馬に選定された。
昨年は規定の得票率75%にわずか8票届かずまさかの落選となり物議を醸したが、今年は有効投票数207票中200票を獲得。15年オルフェーヴルの95.9%を抜く史上最高の得票率96.6%を記録し、堂々の殿堂入りを果たした。父ロードカナロアも18年に選定されており、親子での顕彰馬は史上5組目だ。
牝馬としては史上6頭目の選定に、現役時代に管理した国枝調教師は「競馬はブラッドスポーツなので功績を代々伝えていくことが大事。殿堂入りできたことを大変光栄に思います」と喜びの声を伝えた。
17年にデビューし、3歳時は牝馬3冠に加えてジャパンCを2分20秒6の世界レコードで制覇。JRA賞年度代表馬に輝くと、その後もタイトルを積み重ね、ラストランとなった5歳秋のジャパンCでは3冠馬コントレイル、3冠牝馬デアリングタクトとの世紀の一戦を制して2度目の年度代表馬に。国枝師は「心身ともに抜きんでており、ずっとわれわれの大きな期待に応え続け、次のレースではどんなパフォーマンスを見せてくれるのかという夢を抱かせ続けてくれました」と栄光の日々を振り返った。
現在は繁殖馬として北海道安平町のノーザンファームに繋養されており、22年に初子となる父エピファネイアの牡馬を出産。今年1月15日には父モーリスの牡馬が誕生し、現在はキタサンブラックの子を受胎中だ。初子は順調なら来年中にもデビューする。「きっとアーモンドアイは、その子供たちに夢をつないでいってくれることでしょう」と国枝師。後世へと受け継がれる名牝の遺伝子が、また新たな競馬史を作ってくれるはずだ。(綿越亮介)
◆アーモンドアイ 父ロードカナロア、母フサイチパンドラ、母の父サンデーサイレンス。2015年生まれ。鹿毛。現役時は美浦・国枝栄厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。戦績は15戦11勝(うち海外1戦1勝)。獲得賞金19億1526万3900円(うち海外3億9570万900円)。重賞は2018年GⅢシンザン記念、GI桜花賞、GIオークス、GI秋華賞、GIジャパンC、19年GIドバイターフ(UAE)、GⅠ天皇賞・秋、20年GⅠヴィクトリアマイル、GⅠ天皇賞・秋、GIジャパンCの10勝。馬名は「美人とされる顔の目の形」。
◆アーモンドアイを所有した(有)シルクレーシングの米本昌史代表 「名誉ある顕彰馬に選定いただき大変光栄に存じます。およそ3年半の競走生活で積み上げた9つのGⅠ勝利は、一つ一つ強烈な印象とともにまだまだ記憶に新しいところです」
◆顕彰馬 中央競馬の発展に貢献した競走馬の功績をたたえるため1984年に制定。99年まで顕彰馬選定委員会の審議で決定し、2000年からは報道関係者による投票に。投票者のうち、4分の3以上の得票が選定条件となった。15年から1人2頭から4頭に投票馬が拡大。顕彰馬は東京競馬場内にあるJRA競馬博物館で、肖像画や馬像、足跡をたどる関係資料が展示される。