純白のソダシは新パートナーの川田将雅騎手を背に栗東坂路を駆け上がった (安田記念、2023年6月4日 15:40、GI、東京11R、芝・左1600m)
春の最強マイラーを決める安田記念が4日、東京競馬場で行われる。GⅠ3勝の白毛ソダシ(栗東・須貝尚介厩舎、牝5歳)は、栗東坂路を単走でラスト1ハロン12秒2をマーク。中2週のため全体4ハロンは55秒1と控えめだが、リズムのいい走りで仕上がり良好だ。安田記念最多タイの3勝を誇る川田将雅騎手(37)=栗東・フリー=との新コンビで、昨年のヴィクトリアマイル以来となる勝利を目指す。
純白の馬体を大きく弾ませた。ヴィクトリアマイル2着から挑むソダシが、栗東坂路でシャープな伸び。初コンビの川田騎手が好気配を伝えた。
「オーバーワークにならないのを一番に。あとは少しだけ最後気持ちを入れてくれたら、ということでした。とてもいい雰囲気で、先週から今週と歩んで来られていると思います」
序盤は1ハロン15秒5―14秒5のゆったりとしたラップ。後半で鞍上が少し手綱を動かすと一気にギアを上げ、ラスト1ハロン12秒2でフィニッシュした。全体時計4ハロン55秒1は、栗東坂路の最終追い切りとしては自己最も遅いタイムだが、これは初の中2週と詰まったレース間隔を考慮してのもの。川田騎手が初コンタクトを取った5月24日は、栗東CWコースで6ハロン82秒3─11秒4をマーク。今週も鞍上との呼吸はぴったりで、サンスポ調教評価は『A』だ。
川田騎手は2007年にソダシの伯父ホワイトベッセルに騎乗して、JRA史上初めて白毛馬を勝利へ導いた。重賞勝ち馬ハヤヤッコや3勝クラスのシロニイに騎乗するなど、白毛馬とは縁が深い。気性的な難しさや、硬さがあってダート馬が多い血統だが、アイドルホースの乗り味はやはり特別のようだ。
「今までの白毛とまったく違う、いい意味で普通の馬といいますか、白毛特有のものがあまり感じられない背中だったので。さすがこれだけの成績を挙げてきた馬だなという印象を持ちました」と好感触を口にする。
ソダシを世話する今浪厩務員は、今年9月に定年を迎える。来月以降は有給休暇を取得する予定で、今回がソダシと挑む最後のビッグレース。GⅠ6勝のゴールドシップも手掛けた腕利きは「肉体的にも締まってきて、いいんじゃないかな。もう完成形になっている。トモ(後肢)も前走と同じくらい張りがある」とデキに太鼓判を押す。
GⅠ馬10頭がそろう豪華メンバー。中でもGⅠ3勝は最上位で、芝1600メートルも6戦して4勝、2着1回、3着1回と得意の距離だ。岡部幸雄元騎手、武豊騎手と並び安田記念最多の3勝(2015年モーリス、17年サトノアラジン、21年ダノンキングリー)を挙げる川田騎手は「少し長い距離を走れるぐらいの馬の方が、結果として(安田記念で)いい成績を収めやすいのかな、という印象はもっています。2000メートルの札幌記念を勝ててるわけですし、能力が高く、体力もありますし、それも生きてるだろうと思います」と期待を込める。
先週の日本ダービーは、初騎乗のレーン騎手がタスティエーラをVへと導いた。今週は川田騎手&ソダシの新コンビが、5週連続の東京GⅠを華麗に締めくくる。
★須貝尚介師TALK
--追い切りの指示は
須貝師「川田君には時計とかを気にせず、『競馬だよ』というのを自分なりに伝えてもらえればそれでいいよ、という指示でした。乗り手との信頼関係を高めるための調教でいいんじゃないかな」
──動きや状態は
「変わらず特別な変化もなく、ソダシらしいという内容です。当初から春はここ2戦と決めていましたし、特に変化という変化はない。それがいいんじゃないかなと思います」
──前走は
「ソダシの競馬をしてもらって、勝ったソングラインを褒めてあげたいなと。ソダシもよく頑張りました」
――見通しを
「メンバーもそろったし、一筋縄ではいかないレースにはなる。ソダシはソダシとして、一生懸命頑張ってくれたらと思います」
★4年連続GⅠ制覇へ
ソダシは2020年阪神ジュベナイルフィリーズ、21年桜花賞、22年ヴィクトリアマイルで、JRA・GⅠ3勝をマーク。4年連続でJRA・GⅠ制覇なら史上7頭目、牝馬ではメジロドーベル、ウオッカ、ブエナビスタに次ぎ4頭目になる。