(安田記念、2023年6月4日 15:40、GI、東京11R、芝・左1600m)
春の最強マイラーを決める安田記念が6月4日、東京競馬場で行われる。GⅠ馬10頭の豪華メンバーがそろう中、大阪杯を逃げ切ったジャックドール(牡5歳)を管理する藤岡健一調教師(62)=栗東=を直撃。芝1600メートルを初出走で勝てば、1992年ヤマニンゼファー以来31年ぶりの快挙。武豊騎手とのコンビでGⅠ初制覇を飾った前走を振り返りつつ、マイル王へ向けて手応えを語った。(聞き手・山口大輝)
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--前走の大阪杯でGⅠ初制覇
「スタートも良かったし、うまくいきました。武豊騎手の素晴らしい時計感覚もあり、前半のラップを見て、これはいけるなと。ずっとGⅠを勝てる馬だと思ってたので、うれしかったです」
--ハナ差の勝利。鞍上の手腕も大きかった
「ペース判断がピカイチで、もちろん経験も豊富。レース分析なども素晴らしい。(初コンビの)香港カップ(7着)は体調が良くなかったけど、ジャックドールとは手が合っていると思っていました」
--今回は初の芝1600メートル戦になる
「体形的なものもそうだし、血統的な面も含め、もともとマイルは合うだろうと。スピード能力も高い。大阪杯の直後に、安田記念というのはありました」
--武豊騎手の意見は
「安田記念に向かうという発表をする前に、ユタカに伝えようとしたら、向こうから『安田記念どうですか』と言ってきました。気持ちは一緒でしたね」
--デビューから14戦連続で芝2000メートル戦を使ってきた
「これだけの馬なので、クラシックに乗せたかったですし、(5連勝するなど)結果も出ましたからね。当然GⅠも、と。タイトルを取って、(使いたかった)マイルに向かえることは意義があります」
--17日は栗東坂路で4ハロン50秒2の自己ベスト
「短距離仕様に仕上げたいですし、速い時計を出して、テンションを意識的に上げていく面もありますね。短距離に対応できるスピードがないと、坂路であの時計は出ません。そういう意味でも距離は合うはずです」
――休み明けを使って、上積みも大きそう
「馬体重の変化はないですが、筋肉量も増えている。めちゃくちゃ理想的。順調です。思っている以上の動きを見せてくれていますし、さらに状態は上がっている気がします」
--東京コースへの適性は
「合うと思います。一番強かったのは(昨年の)金鯱賞。実績通り、左回りはいいですよ。2000メートルを勝つぐらいの力がないと、東京のマイルは厳しいでしょう。ましてGⅠですからね」
--マイルでも結果が出れば、種牡馬入りのアピールにもなる
「そうですね。この馬にとって大事なレースになります。100%の状態でいけるよう、やってきました。ぜひとも、勝って先につなげていきたい。それだけの馬だと思っていますし、それだけの自信もあります」
--今後のプランは
「天皇賞・秋で昨年(4着)のリベンジをしたい。そこが秋の大目標。どう向かうかは、ここの結果次第になると思います」
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■藤岡 健一(ふじおか・けんいち) 1961(昭和36)年1月1日生まれ、62歳。滋賀県出身。79年に栗東・宇田明彦厩舎で厩務員、同11月に調教助手。伊藤雄二厩舎、南井克巳厩舎を経て、01年に調教師免許を取得し02年に開業。29日現在、JRA通算565勝で重賞は16勝。GIは16年の高松宮記念(ビッグアーサー)、桜花賞(ジュエラー)など3勝。佑介、康太の2人の息子はJRA騎手。
★芝1600メートル初出走でVならヤマニンゼファー以来31年ぶり
グレード制を導入した1984年以降、芝1600メートル未勝利馬の安田記念制覇は過去に7頭。そのうち、芝1600メートル初出走で勝利したのは1992年ヤマニンゼファーのみで、ジャックドールが勝てば31年ぶり2頭目。また、登録したGⅠ馬(JRA+海外)10頭がすべて参戦すれば、2020年に並ぶ安田記念でのGⅠ馬最多出走となる。