人気に応えて逃げ切った石野貴之は、区切りのSG10Vとなった=ボートレース芦屋(撮影・榎本雅弘) 祭典で大台到達だ!! 芦屋ボートの「SG第50回ボートレースオールスター」は28日、第12Rで優勝戦が行われ、石野貴之(40・大阪)が逃げ快勝。2017年の第44回(福岡)以来の2回目のオールスターVで、史上8人目のSG10冠を達成した。優勝賞金4000万円を加算して賞金ランク1位へ浮上し、年末の地元住之江でのグランプリ出場は決定的となった。また、来年1月の大村PGⅠ・BBCトーナメント、同3月のSGボートレースクラシック(戸田)の出場権を手にした。
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感謝の思いを力に変えて大台へ到達した。久々にSGファイナルで大声援が響く中、圧倒的人気を背負った石野が逃げ完勝。2017年の第44回(福岡)以来2度目のオールスター制覇で、史上8人目となるSG10冠を成し遂げた。
「前検の夜に優勝する夢を見たので、いいイメージが先行した。負ける要素が見つからないくらい、ゾーンに入っていましたね」
エース級の14号機を引き当てた今節は躍動感あふれる走りを見せつけた。6コースから臨んだ3日目9Rでは1周バックで5番手だったが、怒涛の追い上げで1着を奪取するなどオール3連対で予選を2位通過。そして準優を圧逃すると、直後に首位だった毒島が準優で姿を消す大波乱。巡ってきた絶好機を逃さずに、最後も力強く逃げてゴールではこぶしを突き上げた。
オールスターは今回が11年連続14度目の出場で、今大会は新型コロナウイルスが第5類に移行し、イベントやファンサービスが再開されて初のSG開催。初日のオープニングセレモニーから多くのファンが詰めかけ、場内はコロナ流行前の活気が戻り、ウイニングランでは割れんばかりの声援を受けながら、満面の笑みで手を振り続けた。
「お客さんのほうを向いてガッツポーズをしたかったし、『大阪から来たぞ』と声も掛けていただいた。(ファンの)熱気は選手の力になるので、これからも本場にきてください」
ウイニングランでは勝負師の厳しい表情から、にこやかな表情に戻った浪速のエースはスタンドに残ったファンへ手を振り続けた。
一昨年3月のクラシック(福岡)以来となる通算10度目のSG制覇で今年の獲得賞金は7000万円を超えて1位へ浮上。今年は地元の住之江で開催されるグランプリ(12月19~24日)出場も決定的となった。
「松井(繁)さんは(SGVが)12回なので偉大な先輩を超えたい。そして、グランドスラムでインゴット(3億円相当の金塊)を取る姿を見せたいですね」
グランプリシリーズを除く8つのSGのうち、まだ優勝していないのはメモリアルとダービーだが、チャンスがくれば間違いなく取れるはず。不惑を迎えても輝き続ける生粋の勝負師が19年以来となる〝賞金王〟へ突き進む。(佐野友記)