日本ダービーで一発を狙うグリューネグリーン=5月24日、美浦トレセン いよいよ今週28日に競馬の祭典、日本ダービーが行われます。ウチの厩舎からはグリューネグリーンが出走。日本ダービーに挑むのはブラックホール(7着)とビターエンダー(10着)が出走した2020年以来3年ぶりです。まずは、18頭しかない出走枠に入れたことを光栄に思います。
前走の皐月賞は11着に終わりましたが、馬場が悪かったうえにペースが速くて先行勢には厳しい展開。前々の競馬を指示したことが裏目に出てしまいました。あの結果がこの馬の能力だとは思っていません。追い切りは2週連続で攻め駆けするライラックを相手に併せ馬。びっしりと馬体を合わせることで闘争心を高められたと思います。悔いのない仕上げができました。
全く人気はないでしょうが、ただ指をくわえて見ているだけではありません。東京には実績がありますし、今週からCコースに替わって先行力を生かせそうなのもプラスだと思います。思い起こすのはちょうど50年前の日本ダービー。当時は怪物と呼ばれたハイセイコーが断然の人気でしたが、タケホープに騎乗した嶋田功騎手が「ハイセイコーが四ツ脚ならタケホープも四ツ脚だよ」と言って、本当に倒してしまったのです。何があるか分からないのが競馬ですし、一発を狙っていますよ。
グリューネグリーンはウチの厩舎が開業2年目にオークスを勝ってくれたウメノファイバーの孫。そして、鞍上は弟子の(石川)裕紀人。考えてみれば、まるで厩舎の歩みの集大成となるようなダービー挑戦です。これで勝ったら、天にも昇るようなうれしさでしょうね。ダービー終了後の目黒記念にはライラックが出走しますし、日曜は相沢厩舎へのご声援をよろしくお願いいたします。
■相沢 郁(あいざわ・いくお) 1959年6月19日生まれ。北海道出身。麻布大学獣医学部で獣医師免許を取得。98年に厩舎を開業。初年度からウメノファイバーが京王杯3歳Sを優勝し、翌年にオークス制覇。2012、13年にJRA賞優秀調教師賞を受賞。これまでにJRA重賞20勝をあげている。趣味はお酒。