たくましさを増して復帰するスターズオンアース。高柳瑞調教師(右)も成長を実感している 昨年の桜花賞とオークスを制し、JRA賞最優秀3歳牝馬に輝いたスターズオンアースが、大阪杯で4歳初戦を迎える。秋華賞で3着に敗れ牝馬3冠の夢は果たせなかったが、この世代の牝馬では一枚上の存在。管理する高柳瑞樹調教師(47)=美浦=に、中間の調整過程や、牡馬一線級との戦いに向けての手応えを聞いた。(聞き手・板津雄志)
──牝馬3冠を目指した前走の秋華賞は3着
「いつもは普通に出ていたけど、前走に関してはスタートで少し遅れてしまった。それが一番(の理由)ですね。リカバリーしきれず、後ろからの競馬になってしまって(勝ったスタニングローズに)追い付けませんでした」
──それでも、勝ち馬と0秒1差まで追い上げた末脚は目立った
「パトロール(映像)では、どこにも抜けて来られる隙間なんてないように見えましたけど、ルメール騎手も(勝ちをあきらめず)果敢に狙って乗ってくれました」
──直線で馬群を割って伸びて来られるのはこの馬のすごさ
「桜花賞もそんなレースでしたし、(他馬にも)ひるまない馬ですね」
──今回も阪神の内回り2000メートルが舞台
「走る場所を選べるなら広いコースの方がいいけど、タイトなコースでも対応できる馬ではあります」
──前走後は左前肢の繋靱帯に若干の炎症。調整過程に影響は
「牧場でしっかり(患部を)治してから動かしてきました。復帰の見通しが立ってからどこを目指すか考えたところ、大阪杯くらい(の日程)なら問題ないと。脚元のことを優先してきましたから、調整過程に問題はないです」
──オークス後の両前肢の第一指骨剝離骨折でぶっつけ参戦になった秋華賞と比べて
「秋華賞もいい状態でしたから。今回も仕上げていく過程は順調ですし、いいと思います」
──1週前は美浦Wコース6ハロン81秒0─11秒1で僚馬2頭をちぎった
「指示通り乗ってもらって、動き、反応ともに良かったです。ここからもうひとつ(状態が)上がっていきそうなイメージもあります」
──4歳を迎えて馬体面の成長は
「明らかに背は高くなっていますね。馬体重は秋華賞のときが472キロでしたが、21日の段階で496キロあります。大きくなっているので前走の数字に合わせることもないです。(最終追い切りで)体のラインもさらに引き締まってくるはず」
──以前見られた右にモタれる面は
「多少の左右差はありますが、追い切りで困るほどのものでもないし、週ごとにどんどん走りのバランスは良くなってきています。体力もついてきているのでしょう」
──今回は牡馬との対決
「同世代の牝馬と戦ってきた今までと比べると相手関係は強くなりますが、あまり牡馬、牝馬については考えていません」
■高柳 瑞樹(たかやなぎ・みずき) 1975(昭和50)年8月1日生まれ、47歳。北海道出身。99年に美浦・吉永正人厩舎で調教厩務員となり、伊藤伸一厩舎の調教助手を経て2010年に調教師試験に合格。翌年開業した。栗東所属の高柳大輔調教師は実弟。父の隆男氏は北海道日高町で生産牧場を営む。28日現在、JRA通算2648戦208勝。うち重賞はGI2勝を含む5勝。
★ルメール騎乗できょう追い切り
トレセン全休日明けの28日、スターズオンアースは美浦の角馬場で入念に体をほぐしてから坂路を4ハロン66秒1-16秒0で駆け上がった。高柳瑞調教師は「先週の1週前追い切りの後も順調にきています。水曜(29日)はルメール騎手で追い切ります」と話した。