余力十分に栗東坂路を駆け上がったアグリ。上昇ムードで初めてのGⅠに臨む 高松宮記念の追い切りが22日、東西トレセンで行われた。栗東では、4連勝で阪急杯を制したアグリが坂路単走で軽快なフットワークを披露。前走からの上積みは大きく、一気のGⅠ奪取へ好気配だ。
まぶしい日差しを浴びながら、栗東坂路をさっそうと駆け上がった。4連勝中のアグリは軽快なフットワークを披露。動きを見守った安田隆調教師が満足げな表情でうなずく。
「先週にビシッと追って仕上がった状態になりましたので、息を整える程度。いい動きだったと思う」
開門後のラッシュ時に登場。ゆったりとしたリズムでスタートし、きっちりと折り合って進む。乗り役の手が動くことなく加速ラップを刻み、ラスト1ハロン12秒4でフィニッシュ。全体時計の4ハロン53秒0以上にスピード感がある走りだった。
昨夏から一気の4連勝を飾り、重賞初参戦で阪急杯を制覇。勢いはメンバー随一だ。その前走は2カ月ぶりでのV。ラスト200メートルでやや失速し、2着ダディーズビビッドにクビ差まで迫られた。横山和騎手は「まだまだ良化の余地を残しているなと感じた」と振り返る。前走後は在厩調整。1週前追いでは16日の栗東坂路の一番時計で、自己ベストの4ハロン49秒8(ラスト1ハロン12秒0)をマークした。手綱を取った鞍上は「前走を使ったことで一段と芯が入った。体幹もしっかりしてきている」と上昇度を証言した。
今回は昨夏の1勝クラス(4着)以来の1200メートル。距離短縮について、安田隆調教師は「あのときとは馬の状態が全く違いますのでね。前走もテンから速い流れに乗れていましたから、十分対応できると思う」と自信をのぞかせる。
当レースで歴代最多の3勝を挙げるトレーナーは、来年2月末で定年となるため、これが最後の参戦となる。管理した勝ち馬カレンチャン、ロードカナロア、ダノンスマッシュと比較し「本当に大人で伸びしろがあると思っている。(国内外でGⅠ6勝の)世界のロードカナロアを超えるような名馬になってほしい」と期待を込めた。
破竹の勢いで突き進むアグリ。初めての大舞台で強敵をなぎ倒し、まずは国内短距離界を制圧する。(増本隆一朗)