増本記者が熱視線を送るピクシーナイトは1年3カ月ぶりの実戦。ぶっつけ本番で復活を目指す(撮影・岩川晋也) 東西トレセンで取材する記者が、日替わりでGⅠ出走馬の気になる点を関係者に直撃する「俺のチェックポイント」。高松宮記念の2日目は、大阪サンスポの増本隆一朗記者が一昨年のスプリンターズSを制したピクシーナイトに注目。1年3カ月のブランクがあいている実績馬の状態をチェックした。
どうしてもチェックしておきたい馬がいる。2021年スプリンターズSを制したピクシーナイトだ。同年の香港スプリントで多重落馬事故に巻き込まれ、左前膝骨折の重症を負い、今回は1年3カ月ぶりの復帰戦。久々でいきなりのGⅠは厳しいことは百も承知。それでも、今年は抜けた存在がおらず、状態次第では一発あっても…。21日は栗東坂路をキャンターで素軽い脚さばき。好気配を確認し、蛭田助手のもとへと向かった。
「動きも悪くなく、特に問題なく順調です。休養前と馬体も変わっていないし、おとなしい。調整しやすい馬ですよ」
当初は阪急杯から始動する予定だったが、先月17日の調教後に左後肢(トモ)の歩様に違和感がみられたため大事を取って回避。同助手は「長期休養明けだったので、筋肉疲労があったのかな」と分析する。
レントゲン検査を受けても異常は見つからず、放牧先の滋賀県ノーザンファームしがらきでも順調に乗り出せたため、出走を決断。15日の栗東坂路では4ハロン50秒3-12秒1の好時計で、僚馬に3馬身半先着した。一昨年のスプリンターズSの当週追い(同4ハロン52秒1-12秒5)の映像と見比べてみても遜色はなく、むしろすごみが増した印象だ。稽古をつけた生野助手は「(ウッド)チップの蹴り上げはすごかったし、迫力がありましたね」と好感触を伝える。
あとは実戦勘という部分がどうか。そこに関しても蛭田助手は「毎週ゲートの練習はしていますし、出遅れたりすることはないと思う。やるべきことはやっています」ときっぱり。レースへ向けて態勢は整っている。
グレード制を導入した1984年以降、前走から最も長いレース間隔でJRA・GⅠを勝ったのは、中363日で93年有馬記念を制したトウカイテイオー。今回ピクシーナイトが戴冠を果たせば、中468日でのVとなり記録を更新する。そんなドラマが起きそうな気がしてきた。