18日の中央競馬は、賃金体系の見直しを求めた春闘の団体交渉が決裂し、厩舎従業員からなる3労組(関東労、美駒労、関西労)が競馬開催業務のストライキに突入する中で開催される異例の事態となった。
不足した人員は非組合員や補充員で調整。JRA職員も補助的な業務を手伝うなどして開催が進められ、厩務員や調教助手の代わりに調教師がパドックで馬を引いたり、出走予定のない調教師が競馬場で他厩舎の作業を手伝ったりするなど、珍しい光景も見られた。また、所属先の調教師と協議し、通常通りに従事した組合員の姿も多かった。
美浦トレセンでは、ストを行った担当者の代替人員を確保できずに輸送が不可能となり、中山1R⑤カントリーマダム、同7R⑭ダフニスが出走取消に。JRAにはファンから666件の問い合わせがあったが、大きな混乱はないまま開催は終了した。
日本調教師会会長の手塚貴久調教師は「ストライキに至る事態となり、競馬を楽しみにされているファンの皆さまにはご心配をおかけしましたが、3競馬場において無事に開催を行うことができました」とコメント。
そうした中で3労組は18日午後、調教師会に対してストの解除を通告し、19日の競馬開催は通常通りの形態で行われることが決まった。関東労の小倉祥治書記長は「4労組で固まっていけるようにと思っていたのですが、(前日に)全馬労が抜けたのが痛かった。仕切り直す必要があると判断しました。労働問題として世間から注目を集めていたので、腰折れのような形になったのは残念です」と状況を説明。今後は3労組で協議のうえ、改めて調教師会に要求書を提出する見込みだ。
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