浦和所属のスピーディキックが御神本訓史を背にフェブラリーSに挑む GⅠ出走馬の気になる点を直撃する「俺のチェックポイント」。フェブラリーSの2日目は東京サンスポの南関東競馬担当・大貫師男記者が浦和競馬から挑戦するスピーディキックを取材した。勝てば地方馬としては24年ぶりの快挙。牡馬をも蹴散らす南関の女傑のチャレンジに迫った。
フェブラリーSがGⅠに格上げされた1997年以降、延べ30頭の地方馬が挑戦したが、勝ったのはメイセイオペラ(99年)のみ。24年ぶりの快挙にスピーディキックが挑むということで、さっそく浦和所属馬が入厩する野田トレセンにチェックに向かった。
前走後も緩めず調整され、6日にダートコース5ハロン67秒4、3ハロン38秒9(良)を単走、一杯でマーク。他のオープン馬が3ハロン40秒を切れるかどうかという馬場状態だけに優秀な時計で、「GⅠだから中間から乗り込むことを意識したけど、ここまで攻めたのは初めて。精神的にも成長して、レースへ向けて調整していることを理解している感じがある」と藤原智調教師の表情は明るかった。
13日も3ハロン41秒8でサッと追われて最終調整。「息の入りは良かったですし、自分から手前を替えるようになって日々の成長を感じています。馬体重も480キロを切るくらいで、いつも通りに送り出せるでしょう」と太鼓判。「あとは芝とダートの切れ目だけ、返し馬でよく見せておいてもらえれば」と、鞍上の御神本訓史騎手に託す。
スピーディは門別でデビューし、浦和に移籍後は7戦6勝。関東オークスこそ3着に敗れたが、牡馬相手の戸塚記念を勝つなど、破竹の勢いを見せ、昨年のNAR3歳最優秀牝馬に選出された。
今回は地方の代表として臨む形だが、「そういうのは意識していないですね。スピーディと一緒に戦ってきて、結果的にここにたどり着いただけ。スタッフとも『中央の馬場って、どんな感じなんだろうね』と楽しみに話しているくらいですよ」と調教師に力みはない。そんな自然体な環境でのびのびと走ってきたスピーディキック。GⅠの大舞台でも、物おじせずに馬群を割る根性娘から激走の気配が漂っている。
★チーム益田の挑戦
スピーディキックを管理する藤原智行調教師は、2002年に惜しまれつつ廃止された益田競馬場(島根県益田市)の出身で、3代続く調教師の家系。主戦の御神本訓史騎手、同馬を担当する末田秀行厩務員も騎手として益田に所属しており、〝チーム益田〟でGⅠに挑む。益田競馬場は右回り1周1000メートルで、フルゲートも8頭と少なく、『日本一小さな競馬場』と称された。コースとスタンドの間に一般道が通っているのが特徴的だった。
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