JRA競馬学校を卒業した小林美駒さん(右)と河原田菜々さん 3月にデビューしJRAの現役女性騎手は6人となる(撮影・塩浦孝明) JRAは7日、令和5年度の新規騎手免許試験合格者を発表した。競馬学校騎手課程第39期生は、小林美駒(みく)さん(17)、河原田菜々さん(18)の女性2人を含む6人が合格し、千葉県白井市の同校を卒業。3月に新人騎手としてデビューし、JRAの現役女性騎手は史上最多の6人となる。
卒業式前の午前10時にJRA新規騎手免許試験の合格者が発表され、小林美駒さん、河原田菜々さんの女性2人を含む6人の新人ジョッキーが3月1日付で誕生する。これでJRAの現役女性騎手は6人に。1996年にJRA初の女性騎手となる3人、翌97年に2人がデビューし、5人が現役だった時期はあるが、6人は史上最多だ。
藤田菜七子騎手に次ぐ美浦所属となる小林さんは、小学5年で新潟競馬場の乗馬苑で乗馬を始め、ジョッキーへの道を志した。入学当時は表情にも幼さを残していたが、3年たった今は顔つきも大人びて勝負の世界に身を置く覚悟が備わってきた。
「長いようで短かったです。いろいろな人に支えられて卒業を迎えられました。最初は騎手に対する憧れしかなかったですが、1年生の厩舎実習で鈴木伸先生のところへ行って気持ちが切り替わりました」。鈴木伸厩舎の先輩には関東トップの横山武騎手がおり、「たくさん刺激を受けて、競馬の見方も変わりました。今村聖奈先輩の記録(新人女性騎手最多のJRA年間51勝)を超えられるように頑張りたいです。女性6人で同じレースに乗っても一番になりたい」と負けず嫌いな一面も見せていた。
古川奈穂騎手、永島まなみ騎手、今村聖奈騎手と同じ栗東所属となる河原田さんは「プロとしての自覚を持って、勝ち鞍を積み重ねて新人賞を取れるように頑張りたいです」と意気込む。小学4年で乗馬を始めて祖母の家で競馬中継を見て〝これしかない〟と思ってロックオン。厩舎実習中には横山典騎手からもアドバイスを受けていたようだ。「両親の支えがあって、ここまで気持ちがぶれることなくやってこられました。今村さんや永島さんに肩を並べられるように、技術を磨いていきたいです」と希望に胸を膨らませていた。
JRAデビューは最短で3月4日の中山か阪神競馬場となる。女性騎手6人が同じレースに騎乗して真剣勝負の熱い火花を散らす日も、そう遠くはなさそうだ。(片岡良典)
★アイルランド大使特別賞
成績優秀者に贈られるアイルランド大使特別賞は小林勝太君が受賞。卒業式前に行われた模擬レース最終戦も勝ち、9戦4勝でチャンピオンに輝いた。「模擬レースは落ち着いて乗ることを目標にしてきたので、よかったと思います。小学4年でジョッキーベイビーズに出場(優勝)し、東京競馬場で乗ったのがジョッキーを目指すきっかけになりました。同期の中で一番多く勝って、30勝以上で新人賞を確実に取りたいです」と意欲を見せた。
★先輩、今村聖奈から祝福のメッセージ
2年目の今村聖奈騎手(19)=栗東・寺島=は7日、騎手免許試験に合格した後輩たちにお祝いのメッセージを送った。「ご卒業おめでとうございます。卒業してからは全てが自己責任。しっかりとなりたい自分を明確にして、日々頑張ってもらえたらと思います」と話した。また、自身のツイッターを更新し、新人の小林勝太、佐藤翔馬、先輩の松本大輝騎手(20)=栗東・森=と4人で馬に乗る子供の頃の写真を添付。「負けるつもりはないけどこれからもお互い怪我なく頑張ろうね」とつづった。
★卒業生喜びの声
◆石田拓郎君「父が調教助手だったので自然と騎手を目指そうと思いました。1年生は長く感じましたが、2年生になってからは早く感じました。ゲートをしっかりと出して前々で減量を生かせる競馬をしたいです。新人賞を取れるように頑張ります」
◆佐藤翔馬君「不安よりも今は楽しみの方が大きいです。同期で一番勝ち鞍を挙げて、新人賞が目標。父(川崎・佐藤博紀調教師)を超えられるような騎手になりたいです」
◆田口貫太君「乗馬の経験は少なかったが、辞めたいと思ったことはなかったです。30勝以上は勝ちたいです。日本ダービーを見て、騎手になりたいと思ったので日本ダービーを勝ちたいです」