1番人気のレモンポップ(右)が堂々のV。まだキャリアは10戦、先々が楽しみになってきた(撮影・菅原和彦) 単勝160円の断然人気に支持されたレモンポップが、直線半ばで抜け出し完勝。重賞初制覇を飾った。戸崎圭太騎手(42)=美・田島=は中山金杯に次ぐ今年の重賞2勝目。これでフェブラリーS(2月19日、東京、GⅠ、ダ1600メートル)の優先出走権を獲得したが、参戦するかどうかは馬の状態も含めて検討される。
砂の大器が待望の初タイトル獲得だ。単勝1・6倍の断然人気に支持されたレモンポップが、ハイペースもお構いなしに残り300メートルで堂々と先頭へ。負け知らずの東京ダ1400メートルでは主役を譲らんとばかりに、力強く押し切った。
「勝ててほっとしました。スタートはいつもより遅れたのですが、二の脚も、センスもあり、ポジションもいいところを取れました」
デビューから全ての手綱を取る戸崎騎手が、10戦目での重賞初制覇に笑みを浮かべた。終わってみれば正攻法の競馬で、「直線に向いての手応えも十分で、追い出しをどこから行くかなという感じ。他馬に早めに来られてそのぶん早く脚を使いましたが、よくしのいでくれました」と前走の武蔵野S(2着)で先着を許したギルデッドミラーにリベンジ。走破タイム1分22秒5も良馬場の根岸Sでは2020年モズアスコットの1分22秒7を上回る過去最速だ。
管理する田中博康調教師は「最後はいっぱいいっぱいでしたが、よくしのいでくれました」と人馬の奮闘に感謝。レモン同様に自身も開業6年目での重賞初制覇で「周りの開業同期も優秀で早くそこに入っていきたいと思っていました。レモンポップで達成できてうれしい。管理馬の質が上がり、一生懸命頑張ってくれるスタッフともビジョンを共有できています」と喜びを語った。
「まだ前がかりの重心だったり成長がほしい部分もある。そこが改善してくれば、もっといいパフォーマンスができると思う。5歳ですが、まだ変わってきそうな雰囲気がありますね」
3週後のフェブラリーS参戦については状態を慎重に見極めてからの判断だが、目を輝かせて期待馬の将来性を語るトレーナーの言葉には、さらなる上のステージで戦う手応えが感じられた。(板津雄志)
■レモンポップ 父レモンドロップキッド、母アンリーチャブル、母の父ジャイアンツコーズウェイ。栗毛の牡5歳。美浦・田中博康厩舎所属。米国産。馬主はゴドルフィン。戦績10戦7勝。獲得賞金1億6503万6000円。重賞は初勝利。根岸Sは田中博康調教師が初勝利。戸崎圭太騎手は2016年モーニンに次いで2勝目。馬名は「レモンスカッシュ」。