根岸Sの追い切りが25日、東西トレセンで行われた。大雪に見舞われた栗東では、ギルデッドミラーが不良馬場の坂路を素軽いフットワークで駆け上がり、重賞連勝へ態勢を整えた。
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前日から降り続いた雪がコース全面を覆い、氷点下6度まで冷え込んだ栗東トレセン。ギルデッドミラーは除雪されたダートコースを1周後、坂路を軽快な脚取りで駆け上がった。見届けた松永幹調教師が納得の表情で切り出した。
「しまいはしっかりめにやりました。時計も動きも良かった。年齢的にそんなに変わることはないけど、いい意味で変わりないですね」
序盤はゆったりと折り合いをつけて進み、馬場の内めを通って加速ラップを刻んでいく。ゴール前で軽く仕掛けられると、水分をたっぷり含んだ不良馬場を苦にすることなく、小気味いいフットワークでラスト1ハロン12秒2(4ハロン54秒3)をマーク。目下の好調ぶりをアピールした。
2歳7月に芝のマイル戦で新馬勝ちし、3歳時にはGⅠNHKマイルC3着など芝の一線級で好走。「もともとダートも走るんじゃないかと思っていたけど、芝でも結果を出していたのでなかなかタイミングがなかった」。古馬になってもどかしい競馬が続いたことで、昨夏に初めてダートに参戦。そこが大きな転機となった。砂初戦のNST賞(OP特別)で勝利すると、続くグリーンチャンネルCではコースレコード決着の2着。前走の武蔵野Sは鮮やかな差し切りで待望の重賞初制覇を飾った。
「ダートも良かったと思うけど、年を重ねて落ち着いてきて、調教でもうまくコントロールが利くようになりました」
砂適性に加えて、精神面の成長が快進撃につながっている。普段の調教でコースを替えたり、他馬の少ない時間帯に乗ったりするなど工夫を行い、気持ちにめりはりをつけることができている。前走後は優先出走権を得たチャンピオンズCを見送り、適条件のフェブラリーS(2月19日、東京、GⅠ、ダ1600メートル)に照準を合わせてきた。
松永幹調教師は「ワンターンが合っていて、東京コースもぴったり。フェブラリーSに何とか出走させたい。いい結果で向かえれば」と結んだ。
クラブの規定で今春での引退が決まっている。砂の舞台で最後に大きな花を咲かせる。(斉藤弘樹)
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