日本調教馬が海外のビッグレースを勝つことは、決して珍しいことではなくなった。多くの名馬が世界の歴史に名を連ね、その偉業は確かな称賛を得ている。中でも、2012、13年のロードカナロアによる香港スプリント連覇は特筆すべき快挙だった。
年末に大きな飛躍を果たす12年、ロードカナロアがその足掛かりとしたのがシルクロードS。前年春から4連勝を飾った勢いに乗り、単勝1.4倍という圧倒的な支持を得て臨む。逃げるエーシンダックマンが飛ばす中、慌てず騒がず9番手を追走。直線でゴーサインを出されると、はじかれたように伸びてあっさりと差し切った。2着エーシンとの差は2馬身半。それ以降はアタマ、クビ、ハナ、クビ、ハナ、ハナ差という大激戦だったが、1頭だけまるで次元が違う完勝だった。
生涯19戦13勝、2着5回、3着1回というほぼ完璧な成績を残して種牡馬入り。その初年度からアーモンドアイという歴史的名牝を送り出し、同じく初年度産駒のダノンスマッシュは香港スプリント(20年)で父子制覇を成し遂げた。皐月賞馬サートゥルナーリア、ドバイターフを制したパンサラッサ、国内外のダートで活躍するレッドルゼルなど、産駒の活躍は枚挙にいとまがない。
際立った競走成績を残しただけでなく、父キングカメハメハからのサイアーラインも確立。その名は世界にとどろき、その血は世界からのニーズがある。当然のように顕彰馬にも選出されているが、名声が本当に高まるのはこれからなのかもしれない。(記事初出は2023年1月)
■ロードカナロア 父キングカメハメハ、母レディブラッサム、母の父ストームキャット。2008年3月11日生まれ。北海道新ひだか町・ケイアイファーム生産。現役時の所属は栗東・安田隆行厩舎。通算19戦13勝(うち海外2戦2勝)。
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