ウインマイティーと五十嵐忠男調教師=2022年12月、栗東トレセン(撮影・岩川晋也) リレーコラムの担当は本当に久しぶり。前回の担当が夏だったので、4、5カ月もあいて、入社してもうすぐあと少しで1年を迎える。この間に本当にいろいろなことがあったが、やはり私は馬と人との物語が大好きだと改めて実感した。
例えば、先月の有馬記念に出走(6着)したウインマイティー(栗東・五十嵐忠男厩舎、牝6歳)。サンスポでもたびたびその話が書かれたが、3歳時の秋華賞(9着)での激しい競馬がトラウマとなって「対馬恐怖症」とも言うべき状態に陥った。そこから懸命の立て直しと図った陣営の努力が実って、ついに昨年のマーメイドSで重賞初制覇を飾った。担当の柴田助手の、マイティーに懸ける思いを取材してきたが、「本当にいろんなことを(五十嵐)先生と試して、ようやく実を結んだと思います。普段はすごくかわいいんですよ。何とかしてあげたかったんですよね」と話す同助手の、マイティーを見る優しい目が本当に印象的だった。残念ながらそこからまだ勝利は挙げられていないが、何とかもうひと花咲かせてほしいと切に願っている。
普段からよくお世話になっている、栗東・西村真幸厩舎の梛木助手が調教をつけるファントムシーフ(牡3歳)とプロトポロス(牡3歳)も印象的だ。競馬記者として、初めて新馬の取材をさせていただいたのがこの2頭。当時から梛木助手は「2頭ともすごくいい馬なので、何とか彼らと一緒に大きいところへ行きたいんです」と大きな期待を寄せていた。ファントムはGⅠのホープフルSで4着と改めて素質を見せてくれたし、後者のプロトポロスは小倉2歳S(4着)後に骨折が判明したが無事復帰し、先日の自己条件で2勝目を挙げた。梛木助手をはじめとした関係者の思いを乗せて、GⅠタイトルを手にしてほしい。
まだまだ書き切れていないが、この数カ月で本当にいろいろな人の、いろいろな思いを聞いて記事にしてきた。現状は自分の腕がなく、十分にそれを伝えきれていないが、これからもそのような思いを大切にして記事にしていきたい。(大阪サンスポ・丸橋正宣)
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