アメリカジョッキークラブカップ 3着のユーバーレーベン=1月22日、中山競馬場 【居酒屋ブルース】日曜中山11R
【日曜中山11R・アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)】
大相撲初場所の十日目に行ってきた。両国国技館では今場所から声を出しての応援が解禁された。マスク着用とはいえ、声援があるとないとでは館内の雰囲気はまるで違う。
1月21日付サンケイスポーツのコラム「甘口辛口」にその様子をつづったので、お暇なときにご一読していただけると幸いです。
「誰に言っているんです?」
ひいきの居酒屋のカウンター席でヱビスビールを飲んでいるひーちゃんに聞かれた。
居酒屋ブルースを読んでくださっているユーザーの皆さま。
「なるほど。そのコラム、明日になれば私も読めるわけですね」
今は金曜夜の設定だから、そうなるね。
「その前に読むことは?」
できません。
「ですよね」
サンスポを買うか、サンスポサイトで読んでね。
「わかりやした。ところで、きょうの照明っておかしくありません? 暗くなったり明るくなったり」
そっか、ひーちゃんが「居酒屋ブルース」に参加してからは初めだったね。
「前にもあったんですか? 接続不良なら修理したほうがいいんじゃないです?」
そういう問題じゃない。明るくなったり暗くなったりするのは法則があるんだよ。
「法則?」
桃ちゃん、ヱビスの中瓶をもう一本。
桃ちゃんがヱビスを持ってきた。
「あっ、暗くなった」
桃ちゃんはビールを置いて、テーブルにいる客のオーダーを受けに向かった。
「明るくなった」
比喩なんだよ。
「比喩?」
うん。気持ちが暗いと周囲も暗くなり、気持ちが明るいと周囲も明るくなる。照明の接続の問題じゃなくて、これは人の気持ちの問題なんだ。だから比喩。さっき、ここが暗くなったときのことは思い出して。
「桃ちゃんが来たら周囲が暗くなりました。そっか! 暗くなったのは、桃ちゃんの気持ちが暗いことを示す比喩なんだ」
ご明察。
「桃ちゃんが暗いのは…」
先週の予想が影響しているわけ。「居酒屋ブルース」は競馬の予想エッセーだからね。
「桃ちゃんの日経新春杯の◎ヤマニンゼストは4着で、京成杯の本命シャンパンカラーは6着…。でも、鈴木さんも馬券を外してますよね」
そうだけど、京成杯の◎ソールオリエンスが勝って、日経新春杯の◎プラダリアは3着。印だけ見れば、京成杯は単勝と1、3着のワイド、日経新春杯も1、3着のワイドが当たった。
「そうっすね」
気のない返事だね(苦笑)。
「私だけゆきとくんの複勝馬券を取れて申し訳ないというか…」
先週は「ゆきとくんのオメガリッチマンの単複を…」と付け加えたから問題ないよ。僕は軽視して印を回さなかったけど、ひーちゃんの予想で馬券を仕留めた方がいるかもしれないし。なんといっても石川裕紀人のオメガリッチマンは京成杯を最下位人気で2着。複勝は1090円もついたんだからね。
「そう言っていただけると気持ちが楽になります。それにしても、ゆきとくんは先月から重賞に7回乗って4回馬券内。そんな日がきたかあ…しみじみ」
「私の本命は馬券内に来ず…」
「わっ! 桃ちゃん。びっくりした」
「私が近づくたびに周囲が暗くなってごめんなさい」
「いやいや…いいんですいいんです。気にしないでください」
「先週、ふたりにあれほど猛省を促した私がこの体たらく…」
勝負事にはよくあることだよ。
「鈴木さんにはよくあることでしょうけど…」
気持ちが暗くてもイヤミは健在だ。これなら予想も披露できそうだね。
「もちろん、捲土(けんど)重来を期して寝る間も惜しんで予想しました。勝負レースはAJCCと東海Sのどっちです?」
芝のGⅡのほうが注目度が高いと思ってAJCCにしたよ。
「じゃあ私から」
「先週、京成杯で2頭も本命にしたのにダメで、日経新春杯のヴェローナシチーも11着と惨敗だった私からだと思うんですけど…」
「いいのいいの。ひーちゃんは裕紀人くんで馬券を当てたんだから。ということで私から」
東海Sの予想は?
「東海Sの本命はハギノアレグリアスにしました。重賞初参戦だった前走みやこSでのアタマ差2着は評価していいと思います。デジタル競馬ツールの『Deep』で見られる前走の福永祐一さんのコメントは『3コーナーでの進路取りを間違えました。狭いところに入って躊躇(ちゅうちょ)するところがあり、結果的に仕掛けが遅れました』。勝負どころで外に差せていれば勝っていたと思います。中京は2戦2勝だし、ここは重賞勝ちのチャンスでしょう」
「ダイハツ アレグリア-新たなる光-」の東京公演も2月8日から始まるしね。
「それは関係ありません」
失礼しました。AJCCの本命は?
「ガイアフォースです。ここまで6戦して連対を外したのは、後手を引いたし、2周目の4コーナーでは包まれて進路がなくて不完全燃焼の8着に終わった菊花賞だけ。直線鋭く伸びて重賞初勝利を挙げたセントライト記念と同じ舞台に戻れば…。セントライト記念が9番枠で、今回は10番枠と申し分はないし、鞍上はルメールさま。今年の4歳世代は強いし、キタサンブラック産駒も絶好調。ここは好勝負必至です」
ありがとう。次はひーちゃん、よろしく。
「これまで、あれこれ勉強してから店に来てましたが、今回は素直に前走を見て感動した子を重視しようと思います。そっちの方が当たる気がします。東海Sは、オメガパフューム、チュウワウィザードはじめ、ダートの”いつメン”が続々引退しちゃって、新しい”いつメン”探しのレースですね」
ちょっと待って。“いつメン”て?
「いつもの強いメンバーってことです」
なるほど。続けて。
「今年はみんな実力が拮抗(きっこう)している気がします。その中でウェルカムニュースの前回のレースぶりには、ちょっと感動しちゃいました。最後は一騎打ち、ライバルに一度譲るも最後に差し返しました。よく頑張りました。前でこういう勝負ができれば、重賞でもきっと大丈夫だと思います。また前走みたいなレースを見たいなあ。それと、前走で大勢決したかと思われた矢先にすっ飛んできたサンライズウルスにも期待です。このレースの人気勢とも互角に戦っているのもいいですね。この馬が対抗です」
AJCCの予想は?
「本命はスタッドリーです。これまで16戦のうち12戦で馬券に絡んでいる優等生。前走はロングスパート、ラストの急坂もものともせず差し切りました。今の中山にぴったりなガッツあふれる子だと思います。○はガイアフォース。過去10年で菊花賞組は【1・3・0・5】(左から1着・2着・3着・4着以下)。あの険しいレースを経てここを勝ち切るのは難しいのかなあ。頭はあえて避けます。でも実力上位なのは間違いないので大敗はないとは思います。あとは自動購入のゆきとくん単複。レインカルナティオさん、中山得意なんですよ」
「鈴木さんの番です」
まずは東海Sの予想を少々。
本命はアイアンバローズにした。
「オルフェーヴル産駒はダート初戦を狙え」という格言をつくりたいくらい、芝からダートへ転向後に活躍する産駒が多いイメージがある。ウシュバテソーロがダートに転向してからわずか5戦で東京大賞典を制した印象が強いからかもしれない。
アイアンバローズは、天皇賞・春など芝の長距離重賞で掲示板に5度載った実力馬だけに、ダート適性さえあれば、これまで戦ってきた相手を考えると、ここでも好勝負を演じても不思議はない。
週刊Gallopの「血統班の分析」を担当する中台翼記者は〈ダート戦としては緩急のあるラップになりやすいためか、好走馬の血統を見ていくと、芝要素の濃い馬が好走馬の多数を占める〉と書いている。中台記者はオフフェーヴルを「SS系兼用種牡馬」と芝でもダートでもこなせる種牡馬としている。桃ちゃんの本命ハギノアレグリアスも「芝要素が濃い構成」と評価しているよ。
予想は◎アイアンバローズ、○ハギノアレグリアス、▲ウェルカムニュース、△オーヴェルニュ、クリノドラゴン、サンライズウルス、スマッシングハーツ、ハヤブサナンデクン、プロミストウォリア。
さて、勝負レースのAJCCだ。
本命はユーバーレーベン。
「この馬、好きですね」
「評価していますね」と言ってよ。2021年のオークス以降、白星がないけど、ジャパンC6着、ドバイシーマクラシック5着など頑張っており、このまま終わる馬ではないと思っている。きっかけさえつかめれば、もう一花咲かせられるはずだ。
そのきっかけが今回であってほしい。この馬、直線の長い東京や阪神の外回りで好走しているイメージがあるかもしれないけど、札幌2歳Sで2着に来ているし、中山のフラワーCでも3着に来ている。
外回りコースの中山芝2200メートルなら、このメンバーが相手であれば復活してもおかしくない。このところ前半は後方の位置取りが多いけど、去年の京都記念のようにスタート直後から前々での競馬をしてほしいと個人的に思っている。
実は、Gallopのデータ班もユーバーレーベンを本命にしている。〈前走GⅠ組が順調に最も成績が良く、2400メートル以上からの距離短縮に限れば【4・3・1・18】連対率27%、さらに着差1秒5以内(前走1着含む)なら【3・3・1・11】同33%、単勝回収率100%超と期待値が高い〉というのが本命の理由。データも後押ししてくれている。
◎⑥ユーバーレーベン
○⑩ガイアフォース
▲⑦スタッドリー
△①レインカルナティオ
△④ノースブリッジ
△⑤バビット
△⑨エヒト
△⑪エピファニー
△⑭ラーゴム
《3連複》
⑥-⑩-①④⑤⑦⑨⑪⑭(7点) 各800円
⑥-①④⑤⑦⑨⑪⑭-①④⑤⑦⑨⑪⑭(21点) 各200円
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主な登場人物
ミチヤ…ひいきの居酒屋の店主。ずぶの素人から、どこまで競馬に興味を持ってくれるか
桃ちゃん…ひいきの居酒屋のアルバイト。馬券のセンスが抜群の競馬女子(UMAJO)。ちなみに、居酒屋ブルースのUMAJOは、酒場のあすピー→バイトのマヤ姉(ねえ)→桃ちゃんと変遷
LINEの人…謎の人物
ひーちゃん…Gallopエッセー大賞受賞者。石川裕紀人推し
※結果…(購入額)9800円→(払戻金)2万1420円
お待たせしました。ボリューム満点で無料公開中の【居酒屋ブルース】の2023年初当たりは縁深きオークス馬ユーバーレーベンがもたらしてくれました。レース結果はみなさんご承知の通り、1着④ノースブリッジ(4番人気)→2着⑨番エヒト(5番人気)→3着⑥ユーバーレーベン(3番人気)でした。単勝、馬連、3連単と数ある戦法の中から《3連複》一本に絞って◎3着で万馬券をしとめるあたり、ワビサビすら感じさせます。ほめているのかどうなのかわからなくなってきましたが、まずはめでたい今年の初当たり。桃ちゃんさん、ひーちゃんさんとの楽しい掛け合いを今週末も期待しています。
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