チャンピオンズカップの追い切りが30日、滋賀県の栗東トレーニングセンターで行われた。昨年の覇者テーオーケインズ(栗東・高柳大輔厩舎、牡5歳)は、坂路で4ハロン54秒3-12秒3をマーク。軽快なフットワークで好仕上がりをアピールし、調教評価は『A』。史上2頭目の連覇に向けて視界は良好だ。
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まっさらなウッドチップに、王者が蹄跡を刻んだ。ぶ厚い雲に覆われた開門直後の栗東坂路。昨年の覇者テーオーケインズが、軽やかなフットワークで好調をアピールした。
「1週前追い切りのケア、折り合い、動きの確認をしました。いい状態にあると思います」
高柳大調教師の満足げな表情が、状態の良さを物語る。いの一番に坂路に登場し、1ハロン15秒1-14秒5のゆったりとしたラップから乗り役の手が動かずともギアチェンジ。前夜の雨で重たい馬場をものともせず、12秒4―12秒3で軽快にフィニッシュした(4ハロン54秒3)。1週前追い切りは栗東CWコースで松山騎手がまたがり、当週は坂路で軽めに整える、いつもの〝必勝パターン〟。指揮官は「去年もすごくいい状態でしたが、同じぐらいの状態で行けると思います」と胸を張った。
昨年は当レースを6馬身差で圧勝し、JRA最優秀ダートホースに輝いた。今年初戦はサウジカップに挑戦して8着だったが、初の海外遠征を通じて精神面が成長した。松山騎手は「海外を経験して馬が大人になった。どっしりとしてきましたね」と証言。昨年のJBCクラシック(4着)は、長距離輸送の影響や初の金沢競馬場の環境に戸惑い、カイバを食べなかった。だが、今年は初の盛岡競馬場への輸送もクリアし、2馬身半差で快勝。「いろんな経験を積んで大人になって賢くなってきています。馬体も全体的に、ひと回り大きくなりました」とトレーナー。5歳秋を迎え、心身ともに充実期と言っていい。
2走前の帝王賞(4着)で先着を許したメイショウハリオ、チュウワウィザード(引退)、オメガパフュームは不在。GⅠ3勝の実績はもちろん、メンバー的にも最有力の存在だ。中京ダートも4戦3勝で、1800メートルに限れば2戦2勝と好相性。同レース連覇なら、史上2頭目の快挙になる。
指揮官は「あのとき(帝王賞)は調子がすごく悪かったので。強い3歳もいますが、負けられない気持ちです。いい状態で出せれば、去年のようなハイパフォーマンスを見せてくれると思います」と力強く結んだ。
4つ目のGⅠ奪取へ、準備万端。砂の王座は譲らない。(増本隆一朗)
◆松山騎手TALK◆
--JBCクラシックは2馬身半差で快勝
「スタートが決まって、馬も落ち着いており、折り合いもついて、リズムよく運んでくれたなと。自分の行きたいところで反応してくれて、強い競馬をしてくれました」
--1週前追い切りにまたがった感触は
「前走後は思った以上に疲れが残っていて、なかなか本調子に戻るまでに時間がかかりましたが、しっかりと動けていたかなと思います」
--思い描くレースプランは
「去年すごい脚を使って強い競馬をしてくれましたし、中京も得意なコース。昨年と同じようなレースができれば」
--史上2頭目の連覇が懸かる。ポイントは
「ゲートは全く不安がないというわけではないので、丁寧にやっていきたいですね。非常に強い馬なので、しっかりと結果を出したいです」
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◆JCダート時代含め連覇はトランセンドのみ…今年で23回目を迎えるチャンピオンズカップだが、2007年までは東京ダート2100メートル、08~13年は阪神ダート1800メートルで、ジャパンカップダートの名称で行われていた。当時を含め、連覇した馬は10、11年のトランセンドしかいない。
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