小倉競輪場で開催された『第64回競輪祭』(GⅠ)は最終日の27日、12Rで決勝戦が行われ、新田祐大マークから2角番手まくりを放った新山響平(29)=青森・107期=がGⅠ初制覇を達成。優勝賞金4147万円(副賞含む)を手にするとともに、『KEIRINグランプリ2022』(12月30日、平塚)の出場権を獲得した。2着には郡司浩平、3着には小原太樹が入った。
◇
思い入れの深いバンクで、ついに悲願を達成―。今年最後のGⅠファイナルは、プレッシャーを力に変えて臨んだ新山が頂点に立った。
「うれしいですね。新田さんの後ろを回らせてもらう以上は、優勝しないと…という気持ちで走りました。頭が上がりません」
新田―新山―守沢―成田の並びで連係した決勝戦。新田は10月の寬仁親王牌でGⅠ全冠制覇のグランドスラムを達成したばかり。偉大な先輩に託した一戦だけに、これまでにない緊張感と覚悟を持って臨んだ。
「全開で出切ってくれた新田さんのペースが緩んだし、(飛び付いた坂井と)併走になったので踏ませてもらいました。責任を果たせてよかったです」
最終2角からまくり上げると、離れながら追走した守沢の援護もあって郡司を振り切り、真っ先にゴールを駆け抜けた。昨年は準優勝と、あと一歩のところで同期の吉田拓矢にVをさらわれたが、2016年に初めてGⅠ決勝に進んだバンクでタイトルホルダーの仲間入りを果たすと、両手でガッツポーズをしてファンの声援に応えた。そして北日本の仲間に〝エア胴上げ〟をされると、思わず笑みがこぼれた。
「競技もやっているときは競輪が駄目なら競技、競技が駄目なら競輪でと甘い考えもあったと思います。でも今はより一層、緊張感を持って走れています」
ナショナルチームの一員として2024年パリ五輪を目指していたが、10月から本業の競輪に専念することを決意。そのため、今大会に懸ける思いは人一倍だったのだ。
「グランプリへ向けてはしっかり練習して、ラインに恩返しができるように頑張りたいです」
初出場となる『KEIRINグランプリ2022』(12月30日・平塚)に向けての意気込みを力強く言い切ったニューヒーローから目が離せない。(仲野谷有紀)
■新山響平(しんざん・きょうへい)1993(平成5)年11月2日生まれ、29歳。青森県八戸市出身。県立八戸工高卒業後、107回生として2015年7月に大宮でデビュー。今回の競輪祭でGⅠ初優勝を達成した。デビューからの通算成績は587戦176勝、2着87回、3着63回。通算取得賞金は2億8827万5100円(27日現在)。171センチ、76キロ、血液型A。
この記事をシェアする