第83回菊花賞(GI、芝3000メートル)が23日阪神のメインレースとして行われる。今年は65年ぶりに皐月賞、日本ダービーの連対馬が不在という混戦模様。昨年同様、例年の京都ではなく阪神で行われる。直線の急坂を2度、越えるタフなコースがポイントとなりそうだ。
アスクビクターモア(美浦・田村康仁厩舎、牡)は、春のクラシックで皐月賞5着、日本ダービー3着と上位争いを演じてきた。春の実績馬が不在なら、この馬が悲願のGⅠ制覇を果たす可能性もあるだろう。秋初戦となった前走のセントライト記念では2着に敗れたものの、本番を見据えたレースでもあっただけに巻き返しは必至。母の父レインボウクエストは凱旋門賞など欧州の芝2400メートルGⅠを2勝と血統的にもスタミナは豊富で、条件も合うだろう。昨年はタイトルホルダーが逃げの手を打ってのV。先行力も武器としているだけに、前々で運ぶアドバンテージも得られそうだ。
ガイアフォース(栗東・杉山晴紀厩舎、牡)は、前走のセントライト記念で重賞初制覇。前々走の国東特別ではコースレコードで勝っており、高い能力を証明している。父キタサンブラックは菊花賞に加え、天皇賞・春を連覇。ステイヤーとして名をはせただけに産駒にもスタミナを伝えているはずだ。キャリア5戦と伸びしろは十分で、めきめきと力をつけている今ならGⅠの大舞台でも期待が持てる。
僚馬のジャスティンパレス(牡)も前哨戦の勝ち馬。神戸新聞杯ではしぶとい脚で伸び、3馬身半差の完勝で重賞初制覇を飾っており、最高の形で秋初戦を終えた。半兄アイアンバローズはステイヤーズS、阪神大賞典で2着と長距離重賞で活躍。血統的にも3000メートルの長丁場で才能開花となりそうだ。もとはといえば、ホープフルS2着と世代上位の能力は示していただけに、最後の1冠にかける思いも強いだろう。
ドゥラドーレス(美浦・宮田敬介厩舎、牡)はここまでデビュー5戦すべてで上がり最速をマーク。毎日杯でも3着に駆けており、末脚の爆発力は重賞でも通用するものがある。母系はディープインパクトを筆頭に活躍馬が多数のウインドインハーヘア牝系。血統に裏付けされた高い素質を初のGⅠの舞台で爆発させられるか。これまで2000メートルまでの経験しかなく、距離の克服は課題となりそうだ。
神戸新聞杯3着のボルドグフーシュ(栗東・宮本博厩舎、牡)も息の長い末脚は相当なものがある。5戦連続で上がり最速をマークしており、差しが決まるような展開になれば浮上もあるだろう。道中は後方から運ぶことが多いが、距離延長でこれまでより前めのポジションで運べれば差し届く可能性も上がる。阪神で2勝を挙げているように、コース相性の良さも見逃せない。
勝ちきれない反面、安定感は抜群のヴェローナシチー(栗東・佐々木晶三厩舎、牡)や年長馬相手の新潟記念でも3着に健闘したラジオNIKKEI賞勝ち馬フェーングロッテン(栗東・宮本博厩舎、牡)、秋初戦の神戸新聞杯8着を叩いて上昇気配が漂う青葉賞勝ち馬プラダリア(栗東・池添学厩舎、牡)などチャンスのある馬も多く、多士済々なメンバー構成となっている。