先週の紫苑Sに出走したライラックは悔しい3着でした。前残りの展開のうえに直線で不利があって追い出しが遅れてしまいましたが、もう少しのところまで追い上げてくれました。改めて能力のあるところを示してくれましたし、何よりゲートをしっかりと出られたのが収穫でした。勝ったオークス2着のスタニングローズとはクビ、クビ差でしたし、2歳女王サークルオブライフには先着。本番の秋華賞(10月16日、阪神、GⅠ、芝2000メートル)が楽しみになる内容でした。あと1カ月、しっかりと調整していきたいと思います。
今週の初めは北海道の育成牧場を視察してきました。お目当てはライラックの半弟(父ゴールドシップ)などの1歳馬たち。昼夜放牧の成果か、以前とは見違えるように肉付きが良くなっていました。昼夜放牧が導入されるようになったのは十数年前から。当初は夜間の事故を危ぶむ声も多かったのですが、今ではすっかり定着しました。早い馬ではもう半年もすればトレセンに移動してきます。それまでにすくすくと育ってほしいものです。
3日間開催の今週は18日の中山4R(新馬戦、芝1200メートル)でデビューするスピードオブライトに期待しています。本来は新潟最終週の芝1400メートルで初陣を予定していましたが、まさかの除外に。予定が2週延びたことを心配されるかもしれませんが、今週の追い切りは素晴らしい動きでした。また、スピードのある馬なので最終週の荒れた馬場よりも現在の中山の良好な芝の方が持ち味を生かせそうな気がします。ロードカナロア×ディープインパクトの良血馬。スタートを普通に出てくれれば好勝負になると信じています。
■相沢 郁(あいざわ・いくお) 1959年6月19日生まれ。北海道出身。麻布大学獣医学部で獣医師免許を取得。98年に厩舎を開業。初年度からウメノファイバーが京王杯3歳Sを優勝し、翌年にオークス制覇。2012、13年にJRA賞優秀調教師賞を受賞。これまでにJRA重賞19勝をあげている。趣味はお酒。