朝日を浴びながら力強い走りを披露したソダシ(手前)。連覇に向けて、やる気も落ち着きも十分だ 札幌記念の追い切りが17日、函館競馬場で行われた。GⅠ3勝を挙げる白毛のソダシ(栗東・須貝尚介厩舎、牝4歳)は、芝コースでの3頭併せで貫禄の2馬身先着。前日の大雨の影響が残った稍重馬場を力強く駆け抜けた。調教評価はただ一頭最高の『S』で、芝での施行では史上2頭目の連覇に向けて調整は順調だ。大人の階段を上るアイドルホースが、今年も北の大地で躍動する。
太陽に照らされた真っ白な馬体を大きく弾ませた。ソダシが函館芝コースの3頭併せでパワフルな脚さばきを見せ、好気配をアピール。またがった吉田隼騎手が納得の表情で切り出した。
「前の2頭を追いかけて直線の反応を見ました。走る気になって、いい感じできています。むきになっていませんし、雰囲気は良かったです」
2歳新馬の2頭を追走する形でスタートし、リズム重視で進んでいく。スムーズに4コーナーを回って徐々に差を詰めると、直線半ばで外へ。稍重馬場をものともせず、力強い蹄音を響かせて馬なりのままでグンと加速。瞬く間に2頭を突き放して4ハロン50秒1─11秒3を計時し、悠々と2馬身先着した。動き、反応ともに文句なく、調教評価は『S』だ。
10日の1週前追い切りでは2歳相手にクビ差遅れたが、鞍上は「最後まで追いかける形で負荷はかけられているので」と意図を説明。その効果もあって今週は戦闘モードのスイッチが入った。ヴィクトリアマイル以来、3カ月ぶりの復帰戦に向けて態勢は整っている。
2、3歳時は周りの馬を怖がるなど幼い面を見せていたが、4歳夏を迎えて精神的にゆとりが出て落ち着きがある。主戦は「一時はゲートの怪しさはありましたが、我慢してくれています。お利口に競馬ができています」とうなずく。昨年の最終追い切りではスタート地点でごねて後ずさりする場面があったが、今年はスムーズに走り出した。また、今浪厩務員は「トモ(後肢)の張りが一段と良くなってパワーがついている」と馬体の充実ぶりを証言する。
吉田隼騎手は「札幌の2000メートルで勝っていて、自信を持ってソダシのパフォーマンスを引き出したい」と結んだ。1997、98年のエアグルーヴ以来の連覇が懸かる真夏の一戦。名牝に肩を並べ、新たなソダシ伝説を作る。(長田良三)
GIウィナーが3連勝中…夏競馬で唯一のGⅡ戦は今年も豪華メンバーがそろった。近年はGⅠウイナーが力を示して、2019年ブラストワンピース、20年ノームコア、21年ソダシと〝3連覇〟中。近2年は1~3着を独占した。今年はGⅠ3勝を挙げるソダシをはじめ、2勝のグローリーヴェイズ、1勝のパンサラッサ、マカヒキ、ユーバーレーベンの5頭が参戦する。
★須貝師TALK★
──追い切りの指示は
「(前走から)期間があいているからね。今回は競馬(が近づいている)という意識を植え付けたかった。相手は2歳だけど、それを前に見ながら追い抜こうとする感覚をつけたいというのが、きょうの追い切りです」
──動きや反応は
「うながしたときの加速が良かったね。全体的な速い時計はいらない。無理せずにこの時計だからとてもいいよね」
──精神的な面は
「ヴィクトリアマイルより明らかに落ち着きが出ているね。角馬場での常歩を見ていてもスムーズで、去年はそれがなかったからね」
──連覇が懸かる
「調整は想定通りにきているので、いい形でレースを迎えられると思います」