岡部騎手を背にジャック・ル・マロワ賞を勝ったタイキシャトル ジャックルマロワ賞の頃になると必ずタイキシャトルを思い出す。今年は残念な形になってしまったが、28歳はサラブレッドにとって天寿を全うしたといえる年齢。前日までは元気だったそうで、おそらく苦しむこともなかったと思うとほっとした気持ちもある。
タイキシャトルは私の騎手人生に大きな影響を与えた一頭で、一生忘れられない存在だ。ひとことで表現すれば、これほど度胸がいい馬はいなかった。その性格が最も頼もしく感じたのがジャックルマロワ賞を勝ったとき。競走馬は環境の変化に非常に敏感だが、シャトルは全く物おじせず、日本にいるときと同じ様子だった。パドックで単勝1・1倍(最終的には1・3倍)と知ったときは驚いたが、馬がどっしりしているから、このときほどプレッシャーを楽しめたことはなかった。
中~長距離馬以外で初めて年度代表馬に選出されたことで、その後のマイル路線が活性化したと思うし、距離も2000メートルあたりまでこなせる感触があったので、当時、外国産馬に開放されていれば天皇賞・秋でもいい勝負ができたと思う。
いまだに史上最強マイラーということばが聞かれるのも誇らしい。安らかに眠ってほしい。(元JRA騎手)
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