京成杯では大外から一気に差し切ったオニャンコポン。中山の急坂をものともしない末脚は皐月賞でも魅力たっぷり 3冠レース第1弾となる皐月賞が17日、中山競馬場で行われる。同じ舞台の京成杯の勝ち馬で、ユニークな馬名が人気のオニャンコポン(美浦・小島茂之厩舎、牡3歳)が登場。セレクトセールで800万円だった馬が、1着賞金1億5000万円を手に入れるため、攻めの調整で進撃する。
ユニークな馬名ばかり注目されるが、その実力は確か。京成杯の勝ち馬オニャンコポンが、いよいよクラシックへ向けて進撃する。トレセン全休日明けの12日は、角馬場で体をほぐしてから美浦坂路を4ハロン62秒8で軽く1本登坂。自らまたがり感触を確かめた小島調教師が、3カ月ぶりで迎える大一番を前に好気配を伝えた。
「前走後はここ1本に絞ってきた。背中をよく使う馬でそこに疲れが残りやすいけど、きょうは背中の感じが良く(走りの)バランスもとれていた。重厚感も出てきて、雰囲気はいいですよ」
4戦3勝の立派な成績。控えめな調整だった2走前のホープフルSは11着に敗れたが、中2週で挑んだ京成杯は攻めの調整を施して重賞初制覇を果たした。「京成杯では一歩踏み込んだ調整をしても大丈夫だと分かった。それまでと違う差す競馬ができたのも収穫だったね」とトレーナー。クラシックへ向けての調整も抜かりなく、6日の1週前追い切りでは、坂路で大外を回って4ハロン52秒0の一番時計と迫力満点の動きを披露した。
デビュー4年目でのクラシック初挑戦で、勝てば21歳1カ月6日で史上最年少の皐月賞ジョッキーとなる菅原明良騎手も、パートナーの能力を信頼している。「1週前の坂路はだいぶ重い馬場だったけど、息の乱れもなくケロッとしていました。心肺機能がすごく高い。素直で乗り手に従順で、レースでも堂々として気持ちにもゆとりがある。だから前走でも控える競馬に対応できたのだと思います」と手応えを明かす。台風1号が接近し微妙な週末の空模様にも「もともと道悪も大丈夫な印象を持っているので気にならないです。タフな馬場は合うと思います」ときっぱり言う。
メンバーには1億円以上の高額馬が何頭もいるが、オニャンコポンは2019年セレクトセールで800万円(税抜き)で取引された馬。過去に最高6億円で取引された馬もいる、日本一の高額セールとしては格安だ。だが、父がダービー馬エイシンフラッシュで、母の父が皐月賞馬ヴィクトワールピサという血統背景はクラシックに縁がある。
人気アニメ『進撃の巨人』の登場人物と同じ名前として、すでに知名度抜群だが、「名前だけでとどまるのはかわいそう。ここまで来たら中身(GⅠタイトル)も付け加えてあげたいね。安い馬だけど夢がある」と小島師。皐月賞でビッグドリームをつかむため、さあ頼んだよ、オニャンコポン。
◆馬名の由来…かわいらしい馬名のオニャンコポンは、西アフリカのガーナ共和国などで使われるアカン語で「偉大な者」という意味。アシャンティ族の信仰で天空神が、この名前として知られている。アニメ「進撃の巨人」に同名のキャラクターが登場することもあり、ファンの間で話題になった。京成杯を勝った1月16日には、ツイッターの番組公式アカウントでキャラの画像をつけて祝福のツイートもあげられた。「さあ頼んだよ、オニャンコポン」はアニメの中の有名なセリフ。
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