2018.1.9 12:29

【高橋信之コラム】ふつうの暮らしをいつまでも

【高橋信之コラム】

ふつうの暮らしをいつまでも

特集:
高橋信之
『この世界の片隅に』から

『この世界の片隅に』から【拡大】

 おととし公開され今もなお日本のどこかで上映されている『この世界の片隅に』が、来月から全国90館の拡大公開となりました。

 これで日本国内での映画興行ロングラン記録10位が確定!  

 日本映画としては第3位で、アニメ映画としても第1位の最長上映作品となります。

 2018年2月3日からイオンシネマが、90館での上映拡大を決定とのこと。

 公式サイト(http://konosekai.jp/

 なぜ、この時期に?

 これ、アニー賞、アカデミー賞での話題再浮上を狙ってのことでしょうか?

 (アニー賞は行けそうな気がします)

 この拡大公開決定によって公開日数が420日を超えるロングランとなることが確定しました。この時点で「国内歴代アニメ映画ロングラン最長作品」となり、ランキング10位を獲得。

 以後、毎日が記録更新へのデイ・バイ・デイ・チャレンジとなります。

 一昨年、同月に公開された『ガールズ& パンツァー』は、公開日数377日で止まりました。

 『この世界の片隅に』は、もしイオンシネマのどこかで1カ月上映できたら、450日超えするので歴代5位くらいにはいけるかもですね。

 このロングランを支えているのは、アニメファンでもオタクでもなく、ふつうのヒトだと思います。

 物語に描かれた「ふつうの暮らし」の幸せを、観客は観に行っているのです。

 あの時代に生きた人々が国に文句を言うでもなく、肉親の死や傷病を恨むでもなく、淡々と生きていた、いや、生きざるを得なかった姿。そのけなげな人々を観客はいとおしく感じているのだと思います。

 まさに日本人の「良さ」を地味に描いた作品だからこそ、かくも長きにわたって愛される国民映画になったのだと思う次第。

 国内外で受賞した数多くの賞、これから受賞するかもしれないアニー賞、アカデミー賞、それらを超えた価値、それがロングランではないかと。

 もしかすると公開時と細部の表現がリファインされているかもしれません。昨年発売されたDVD、ブルーレィは公開時に直しきれなかった個所がなおっているようです。

 もう一度、「ふつうのくらし」を観に行かないとね。

 《歴代ロングラン記録》2017年版

 1位 祈り~サムシンググレートとの対話 1192日(2012年9月19日から・渋谷アップリンクほか)

 2位 ウエスト・サイド物語 511日(1961年4月1日から・丸の内ピカデリー)

 3位 ベン・ハー 469日(1960年4月1日から・テアトル東京)

 4位 西部開拓史 463日(1962年11月29日から・テアトル東京)

 5位 シネラマ・ホリデー 453日(1955年12月19日から・帝国劇場)

 6位 王様ゲーム 441日(2011年12月17日から・シネ・ルーブル池袋他)

 7位 タイタニック 434日(1997年12月20日から・全国ロードショー)

 8位 世界の七不思議 431日(1957年3月17日から・帝国劇場)

 8位 南海の冒険 431日(1959年4月25日から・帝国劇場)

 10位 この世界の片隅に  420日(2016年11月12日から2018年2月3日で)

 参考  ガールズ&パンツァー 377日(2016年11月21日から)

高橋 信之

「高橋 信之」イメージ画像スタジオ・ハードデラックス株式会社 代表取締役 東京国際アニメフェア実行委員 日本アニメーター・演出協会 応援団長 アニメ記者クラブ/アニメプレスセンター 起案者・理事「出版や広告、商品開発、映像メディアで活動するプロデューサー/プランナー。アニメ、SF映画、ビデオゲーム、玩具、デジタルデバイスなどを得意分野とし、多くの雑誌編集者やデザイナー、映画監督と交流する。

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