【ネクストスター候補(33)】
石坂友宏【拡大】
男子ゴルフで今年プロデビューを果たした石坂友宏(21)=日本ウェルネススポーツ大3年=がサンケイスポーツの取材に応じ、11月の「ダンロップフェニックス」で2位に入るなど健闘した2020年を振り返った。ふとしたSNSの書き込みから指導を仰ぐようになったある大ベテランとの出会いを、ルーキーイヤーでの活躍へとつなげた。来年と統合されたシーズンの目標は大きく「賞金王」だ。(取材構成・八木拓郎)
コロナ禍で今年は国内5戦の開催にとどまった男子ゴルフ界で、新星の出現はツアーの今後に希望をつなぐ明るい話題となった。石坂が11月の国内第4戦「ダンロップフェニックス」で2位。プロ1年目の大学生が“名刺代わり”の優勝争いで大いに名前を売った。
「(V逸の)悔しさが大きいけど、勝って天狗(てんぐ)になるより気を引き締められてよかった。1年目からいい経験をさせてもらえて、トータルとしてはよかったのかな」
2017年の「フジサンケイジュニア」を制し、19年には「茨城国体」で個人・団体の2冠に輝いた有力アマチュアは、同年のファイナルQT(予選会)25位でプロ転向。下部ツアーを主戦場とする見通しだったがコロナ禍で海外勢が来日できなかったため、レギュラーツアー出場のチャンスが広がった。
ツアー再開初戦の9月「フジサンケイクラシック」がプロデビューとなった。その数日前、ツアー通算31勝の永久シード保持者、片山晋呉(イーグルポイントGC)のインスタライブに「『フジサンケイ』出させていただきます」と書き込んだ。面識はなく、ほんのあいさつのつもり。だが、「一緒に練習ラウンドしよう」と意外な誘いが返ってきた。
実際に大会前の練習ラウンドに同行。デビュー戦は予選落ちだったが、11月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」前にも一緒に2日間回った。47歳の大ベテランを前に、やはり緊張しっぱなしだったという。
「片山さんからも『全然しゃべってくれないじゃん』と言われました。でも、すごく参考になります。具体的にアドバイスをいただけるというより、“俺の技術を盗め”という感じ」。石坂は「三井住友-」では欠員を待つ現地ウェイティングで結果的に出番はなかったが、その翌週の「ダンロップ-」でいきなり“成果”が出た。
通算13アンダーで並んだ1学年上の金谷拓実(東北福祉大4年)と4ホールにわたるプレーオフの激闘。惜しくも敗れたがプロ3戦目で2位に入り、今年の成績上位者だけが出場する年内最終戦「日本シリーズJT杯」にも進出(結果は29位)できた。
シーズンは今年と来年が統合された。目標は「レギュラーツアーで1勝。厳しいかもしれないけど賞金王も目指したい。将来的には片山さんのように永久シードを保持して長くやりたい」。青年が大きな志を抱いて、賞金王5度の背中を追いかける。