2020.7.17 05:03

藤井聡太少年を夢中にさせた詰将棋 「考える力」が天才生んだ

藤井聡太少年を夢中にさせた詰将棋 「考える力」が天才生んだ

特集:
藤井新棋聖
将棋大会で駒を動かす小学1年当時の藤井聡太新棋聖(家族提供)

将棋大会で駒を動かす小学1年当時の藤井聡太新棋聖(家族提供)【拡大】

 将棋の渡辺明棋聖(36)=棋王・王将=を下して初タイトルの棋聖位を奪取、史上最年少タイトル獲得の記録を30年ぶりに塗り替えた高校生棋士、藤井聡太新棋聖(17)。その強さの原点は愛知県瀬戸市の将棋教室で幼少期に鍛えられた「詰将棋」にあった。同市では16日、3カ所でパブリックビューイング(PV)が実施され、多くの市民が熱烈応援で17歳を後押しした。

 30年ぶりに最年少タイトル獲得の更新を成し遂げた藤井新棋聖。天才の原点は幼少期に鍛えられた「詰将棋」にあった。5歳の頃、祖母からもらった将棋セットで対局方法を覚えると夢中になり、愛知・瀬戸市内の「ふみもと子供将棋教室」に5歳から10歳まで通った。

 幼少期から非凡な才能をみせた。将棋教室の入会時に480ページもある将棋教本を渡された。幼稚園児で字が読めなかったが、暗記した定跡などの答えを母や祖母らに代筆してもらい、内容もわずか1年で習得した。当時、教室で指導した文本力雄さん(65)は「昔から詰将棋が強かった。(現在の)読みの深さの基礎は詰将棋で鍛えられた」と振り返った。

 同教室では「目隠し詰将棋」も行い、考える力を養った。そろばんの暗算のように問題を読み上げ、それを頭の中に描きながら解く。藤井少年は駒の位置と動きを盤上ではなく、自身の頭の中でイメージして、最良の答えを導き出すことに夢中になっていたという。

 子供の頃に遊んだ詰将棋は、今でも楽しみの一つ。一緒に詰将棋に挑んだことのある都成竜馬六段(30)は「盛り上がりますね。表情が変わる」と振り返る。室谷由紀女流三段(27)は「女の子がスイーツを見て目がキラキラする感じです」と無邪気に挑戦する藤井新棋聖の素顔を明かした。

 藤井新棋聖にはあどけなさが残るが、恩師の文本さんは「中学生になって会ったとき、急に大人びていてビックリした」と驚きを隠さない。まだ17歳の高校生。体の成長とともに、将棋の実力も成長の途中だ。

藤井七段の初戴冠に声を詰まらせた師匠、杉本昌隆八段(51)「藤井新棋聖の誕生をうれしく思います。10年前、小学生の聡太少年に出会ったときから、この日が来ることを確信していました。東海地区にタイトルを持ち帰るという、私や師匠の板谷進九段(故人)の悲願もかないました。タイトルは大切に、いつまでも保ち続けてください。これからも将棋が指せる幸せと全ての人への感謝は忘れずに。大棋士に成長することを願っています」

  • 将棋で負け、頬にバツ印を書かれた小学1年ごろの藤井聡太さん(右から2人目)(家族提供)
  • 愛知県瀬戸市の「ふみもと子供将棋教室」へ通い始めた幼稚園時代の藤井聡太新棋聖(前列中央)=文本力雄さん提供
  • 地元の愛知県瀬戸市の「ふみもと子供将棋教室」で将棋を学んでいた幼少時の藤井聡太新棋聖(文本力雄さん提供)
  • 第91期棋聖戦五番勝負
  • 八大タイトルの最年少獲得記録