2020.1.6 12:00

賛否両論渦巻くパプリカのレコード大賞受賞で41年前を思い出した/芸能ショナイ業務話

賛否両論渦巻くパプリカのレコード大賞受賞で41年前を思い出した/芸能ショナイ業務話

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芸能ショナイ業務話
日本レコード大賞のオープニングに登場した小中学校ユニット、Foorinのメンバーら

日本レコード大賞のオープニングに登場した小中学校ユニット、Foorinのメンバーら【拡大】

 令和に入って最初の日本レコード大賞は小中学生5人組ユニット、Foorinの「パプリカ」に輝いた。平均年齢11・2歳での受賞は、ダントツの最年少記録だ。

 昨年はいたるところで耳にし、♪パプリカ、花が咲いたら…というサビの歌詞とメロディーを、思わず口ずさんだ人も多かったはず。

 ただ、飛ぶ鳥を落とす勢いの米津玄師(28)が作詞作曲プロデュースしたとはいえ、「なんで子供たちの歌が、その年を代表するレコ大に選ばれたのだろう」と思った人もいるだろう。そういう声が私のところにも届き、ネット上でも賛否両論が巻き起こっている。

 対抗馬に、3連覇がかかっていた乃木坂46をはじめとする秋元康氏プロデュースの坂道3グループ、演歌とロックの両方でヒットを飛ばし、ビジュアル面の変化でも話題だった氷川きよし、歌でラグビーW杯を盛り上げたLittle Glee Monsterら、そうそうたる面々が並んでいたことからもうなずける。

 ただ私は、自信を持って最も2019年を代表する楽曲は「パプリカ」だと思っている。CD発売は前年の8月だったが、年をまたいで幼稚園や小学校で大流行し、YouTubeの再生数は1億5000万回を超えた。尋常ではない数字だ。米津自身もセルフカバーし、新語・流行語大賞にもノミネートされた。ここまでくれば社会現象というほかない。

 それを象徴する光景を受賞時に目の当たりにした。私は中継会場の東京・初台にある新国立劇場にいた。客席に陣取った一般客やFoorinを除く9アーティストが固唾をのんで見守る中、TBSの安住紳一郎アナウンサー(46)が「パプリカ」の名を呼んだ瞬間、「わーっ」と沸いたのだ。否定的な「えーっ」ではなかった。

 メンバー全員が13歳以下のため労働基準法で午後8時以降テレビには出演できない。受賞ステージにはアーティストが誰もいない異常事態だ。放送ではFoorinの最初のパフォーマンスがVTRで流れたが、会場では坂道グループら大賞を競ったライバルアーティストと一般の観客がVTRに合わせて合唱し、ノリノリでダンスまで踊っていた。まさに大団円だった。

 打ち上げパーティーの席で、安住アナは「『パプリカ』と発表した瞬間、静寂が包んだらどうしょうかと思っていましたが…客席を見て、感動しました!!」と、声をふるわせて涙ながらにあいさつした。それが全てを物語っていた。

 私がまだ子供だった41年前、ピンク・レディーが「UFO」で大賞を取った。一緒にテレビを見ていた父親が「ピンク・レディーとは、レコ大も軽くなったな」と言ったとき、私は「学校でみんな踊っている。大人気だよ」と反論したのを覚えている。

 前年が沢田研二の「勝手にしやがれ」、前々年が都はるみの「北の宿から」。当時の大人から見れば「UFO」はどんなにブームでも子供が歌い踊る楽曲で、大賞曲にはふさわしくないと思ったのだろう。今ではどうだろう。携帯電話のCMで使われるなど時代を超えた楽曲と認知され、もはやレコ大を受賞したことに異論を唱える者は、いないだろう。

 今回の「パプリカ」も私の目には「UFO」と重なって見えた。自宅で家族一緒に大賞発表の瞬間を見守った子供たちは、喜んだに違いない。41年前の私がそうだったように。(CYP)