徳島市の書店「小山助学館」本店で開かれている京アニのファン感謝イベント(撮影・山田哲司)【拡大】
京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」の放火殺人事件で、同社の代理人弁護士は29日、焼損を免れたサーバーに記録されていたデータが欠損なく回収できたと明らかにした。原画などの紙の資料はほぼ全損したが、原画データなどを記録しているサーバーは焼損を免れていた。また、事件前に企画された同社作品の原画展のために一部の原画が残されており、これらが同社復活に向けた“原点”となりそうだ。
事件では3階建ての第1スタジオ約690平方メートルが全焼。京アニの代理人、桶田大介弁護士によると、建物内の机上のパソコンは原形をとどめないほど甚大な被害を受けた。原画などの紙資料もほぼ全損。過去の作品だけでなく、新作の原画も失われたとみられる。
だが、希望の星は残っていた。桶田弁護士はこの日、サーバーからデータを欠損なく回収できたと明らかにした。
サーバーは、1階のコンクリートで覆われた部屋にあり焼損を免れた。消火活動の水をかぶった形跡もなかった。サーバーには過去の原画や絵コンテのデータがあり、進行中の作品も一部は速やかにデジタル化されている可能性がある。回収されたデータは制作関係の資料だが、詳細は明かしていない。桶田弁護士は「データは亡くなった人、傷ついた人の成果そのもの」と強調した。
実際にどの程度を復元できるかは不明だが、データ復旧のサービスを手掛ける「AOSデータ」(東京)の春山洋社長は「焼損の被害がなく、水にもぬれていなければ、復元できる可能性はある」と指摘した。