2019.5.4 17:44

小笠原中日2軍監督の長女・小笠原茉由、父譲りの“ガッツ”な舞台デビュー戦/芸能ショナイ業務話

小笠原中日2軍監督の長女・小笠原茉由、父譲りの“ガッツ”な舞台デビュー戦/芸能ショナイ業務話

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芸能ショナイ業務話
中日・小笠原道大二軍監督の長女、小笠原茉由が初舞台を終え、安堵の表情。令和の時代のニューヒロインとなるべく、明るい未来が待つ。

中日・小笠原道大二軍監督の長女、小笠原茉由が初舞台を終え、安堵の表情。令和の時代のニューヒロインとなるべく、明るい未来が待つ。【拡大】

 父がバットで捕らえたのが勝利へと弧を描く白球ならば、娘が捕らえたのは、およそ初舞台とは思えぬ演技力で魅惑した観客たちの心だった。

 「食事がのどを通らないほど緊張しましたが、『肩の力抜いていけよ』という父からの電話とメールに励まされ、無事につとめあげることができて、うれしいです」

 ういういしく、透き通るような声の持ち主は、プロ野球中日の小笠原道大2軍監督(45)の長女で女優の小笠原茉由(20)。2日、埼玉・彩の国さいたま芸術劇場小ホールで開幕した「永遠の一秒」(6日まで)で舞台デビューし、初日に足を運んだ。

 特攻隊員として戦死したはずの若者が現代にタイムスリップする物語。戦時中の若かりし邦子の役と、現代の綾香役の2つのパートのヒロインの演じ分けが見事だった。“ガッツ”の愛称で親しまれた父親ゆずりの熱演。初舞台からは、「覚悟」の二文字すら感じ取られるほどだった。

 中でも、現代の綾香から戦時中の邦子に切り替わり、戦争を体験した現代を生きる祖母の邦子(SATOCO)と体が入れ替わって演技する難しいシーンがある。映像ならば編集という手段もあるだろう。それを観衆が見守る舞台上で、わかりやすく、そして説得力を持って体現してみせ、万雷の拍手で“デビュー戦”を終えた。

 “タイムスリップ”は、終演後も続いた。かつて野球担当だった私は、茉由さんの父が日本ハムに在籍した時代の番記者だった。当時の本拠地は東京ドーム。1999年生まれの茉由さんが赤ちゃんのときに、球場で何度も会っている。

 関係者駐車場に止められた車の中で母の美代子さんの手に抱かれ、試合後の父を待つ。ゲーム後も緊張感を残しつつ報道陣に囲まれる背番号2番の表情が、母娘の姿を目にしたとたん、やわらぐ瞬間を幾度となく見てきた。今回は約20年ぶりの“再会”だった。

 終演後のインタビューで「はじめまして…ではないんですよね。両親から伝え聞いています。ご縁って、本当にありがたいですね。これからもよろしくお願いいたします」と愛くるしい笑顔をみせた茉由さん。父もファンやスタッフ、報道陣を大切にする気遣いの選手だったが、娘もしかり。すてきなレディに成長し、胸が熱くなった。

 「まわりのかたたちに支えていただき、ようやく初日を迎えることができ、感謝の思いでいっぱいです。きょうは母と妹が見に来てくれました。父も勝負の世界で大変な状況なのは理解していますが、次は父にも見てほしいですね」

 名古屋を本拠地とする父は単身赴任の日々だが、小笠原家は一枚岩だ。「18歳のときに買ってもらったグランドピアノを弾いて、心おだやかにしています」と茉由さん。大好きな父からのプレゼントが宝物。離れて過ごす寂しさもあるが、ショパンの曲やドビュッシーの「月の光」を奏で、常に父を近くに感じているという。

 終演後、名古屋にいる道大2軍監督に、立派な初舞台だったことを電話で伝えると「大丈夫でしたか? …そうですか。ありがとうございます!」と、娘を案ずる“父”の声がかえってきた。

 平成時代を彩ったスター選手として名をはせた父と、そのDNAを受け継ぐ娘。令和の新時代のニューヒロインへ、自らの手で扉を開けた20歳の茉由さんの未来が、光輝いてみえる。(山下千穂)