2019.3.29 11:00

横田夫妻の41年…菊池桃子「“普通のお母さん”である早紀江さんをしっかり伝えたい」

横田夫妻の41年…菊池桃子「“普通のお母さん”である早紀江さんをしっかり伝えたい」

自然体で、時に迫真の演技を見せた勝村政信と菊池桃子(C)フジテレビ

自然体で、時に迫真の演技を見せた勝村政信と菊池桃子(C)フジテレビ【拡大】

 30日午後3時30分から放送される「独占取材 北朝鮮拉致 前略 めぐみちゃんへ~横田夫妻、最後の戦い~」(フジテレビ)。独自映像とドキュメンタリードラマで41年間の真相が初めて描かれる。

 2002年の拉致被害者5人の帰国からすでに約17年がたった。

 「めぐみちゃんに会いたい」

 その一心で駆け抜けた横田夫妻。同局に残された2000本以上に及ぶ夫妻のVTR、さらに新たな取材をもとに描くドキュメンタリ-ドラマで構成。滋さんを勝村政信、早紀江さんを菊池桃子が演じる。

 早紀江さんの20代から現在までを演じきった菊池は、撮影前に「実は強いわけではない“普通のお母さん”である早紀江さんをしっかり伝えたい」と語っていた。試写を見ると、その穏やかな、一方で鬼気迫る演技に引き込まれる。

 ドキュメンタリードラマは、早紀江さんの語りから始まる。

 「前略めぐみちゃんへ。あなたがいなくなって41年がたちました。お父さんとお母さんはだいぶ弱ってきています…」

 86歳と83歳になった夫妻。「命あるうちに娘を取り戻す」という強い決意は変わらない。

 途中、めぐみさんの唯一の肉声が流れる。1977年、12歳。小学校卒業式の謝恩会で歌う「流浪の民」(シューマン)。この歌を一体何度聴いたことだろう。親なのに何もしてやれない…。

 2017年11月15日、めぐみさん拉致から40年の会見。昨年4月から入院生活が続いている滋さんが会見に臨んだ最後の機会だった。言葉が出なくなってきていた滋さんが、その一言だけ懸命に絞り出した。

 「めぐみ、めぐみ…」

 勝村は「ニュースでの知識しかありませんでしたが、滋さんたちが人生をかけて戦わなければいけない理不尽さを感じていました。この作品で、滋さんの明るく知的な存在が本当にみなさんを引っ張っていったということがよく分かりました」と語る。

 菊池は演じるにあたって不安を抱えていたが、台本を読んだとき「自分の子供が突然いなくなったらどうするか」というシンプルな親心が脳裏をよぎり、「本当に怖くて苦しくて悲しいこと。想像したくもないことです」と話す。

 印象的なシーンは、拉致被害者が帰国した羽田空港の場面。「自分の娘がいないタラップを見つめるカットは難しかった。監督(演出・及川博則)から“普通のドラマのように小さな感情の出し方では伝わらない”と言われました。ドキュメンタリードラマでは実際の映像の迫力が強いので、ドラマ部分は普通のドラマよりも感情を上げていかないと生の映像に負けてしまう、と。そこは監督から指導していただきながら意識しました」と振り返る。

 そして、それぞれが「80を過ぎた親御さんたちの時間には限りがあります。今の若い人たちは拉致のことも、北朝鮮そのものもあまり理解していない人もいると思います。この番組を通じて“帰ってくるまで終わらない”戦いが続いていることを知っていただけたら」(勝村)、「自分の子供が突然いなくなる…それが歴史的な事件と絡んでいく様子を見守っていただければ」(菊池)とメッセージを託した。

 ドキュメンタリードラマは、早紀江さんの語りで終わる。

 「お父さんはただひたすらめぐみちゃん、あなたに会う日のために生きています」

  • めぐみさんの帰りを待ち続ける横田滋・早紀江さん夫妻(C)フジテレビ