2019.3.21 12:00

子供にとっての本当の幸せの意味を改めて考えさせられる映画「こどもしょくどう」/週末エンタメ

子供にとっての本当の幸せの意味を改めて考えさせられる映画「こどもしょくどう」/週末エンタメ

(C)2018「こどもしょくどう」製作委員会

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 23日に公開される映画「こどもしょくどう」は、家庭の事情などで満足に食事を取ることのできない子供に焦点を当てたヒューマンドラマ。

 小学5年生の少年、ユウト(藤本哉汰)はある日、父や妹とともに河原で車上生活を送る少女、ミチル(鈴木梨央)と出会う。ユウトは満足に食事もできないミチル姉妹を両親が営む食堂に招くことに。だが、その数日後、姉妹の父親が突然失踪し、ミチルたちは行き場を無くしてしまう。

 貧困問題に苦しむ子供たちに無償または安価で食事を提供する「こども食堂」をテーマにした作品だが、子供目線で描いているからか決して説教くさくない。むしろ子供たちの、自分たちだけではどうしようもできない現状に対する悔しさ、切なさが伝わってきて胸が締め付けられる。

 大人に比べたら、子供たちは、ごく小さな社会の中で生きている。学校があろうとも、どれだけ友達がいようとも、生活の基盤にあるのは家族。子供たちの“小さな力”では、親によってある種“決まってしまった”自身の境遇や環境には逆らえない。やはり子供にとっては親が全てなのだ。

 ミチルたちは、肉体的にも精神的にも満たされない空腹感を、そっと差し伸べられた温かいご飯で、ひととき忘れることができる。それでも結局は親に会いたいと願う。その姿が切ない。

 いま、すぐそばで泣いている子供がいても、他人の子供には見向きもしない大人が増えた。昔は他人の子供でも本気で愛情をもって怒る大人たちが大勢いたはずなのに。

 そんな中で、子供たちの貧困対策としてだけでなく、地域のコミュニティの場として全国に広がってきているのが「こども食堂」だ。何気なく食卓を囲み、おいしいご飯を食べながら団らんする楽しさを教えてくれる。

 運営はボランティアが多く、続ける難しさもある。だが、子供たちにとっては家と学校以外の貴重な“居場所”となっている。これからの日本を支えていく子供たちの未来を守る大切さを映画を通して感じた。こうした活動に目を向ける人が、より増えてほしいものだ。(古田貴士)