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【軍事のツボ】総火演から見る近未来戦

【軍事のツボ】

総火演から見る近未来戦

特集:
軍事のツボ
総火演に初お目見えした試験段階の電子戦装置「ネットワーク電子戦システム(NEWS)」(撮影・梶川浩伸)

総火演に初お目見えした試験段階の電子戦装置「ネットワーク電子戦システム(NEWS)」(撮影・梶川浩伸)【拡大】

 陸上自衛隊最大規模の実弾射撃演習「富士総合火力演習(総火演)」が8月に行われた。今年は105ミリ砲を搭載した装輪装甲車「16式機動戦闘車(MCV)」などの実弾射撃が初めて公開されたのが注目を集めた。その一方で、まだ試験段階の電子戦装置「ネットワーク電子戦システム(NEWS)」なども初登場している。どちらかというとショー的要素の方が強い総火演だが、NEWSなどは現在や近い将来の戦争には欠かせない装備で、非常に重要な存在だ。これらから近い将来の戦争について概観してみたい。

 今年の総火演のうち陸上幕僚監部の管轄は8月8月23~26日だった。今年の「初物」で目立つ存在は、MCVと水陸両用装甲車「AAV」がともに実弾射撃をしたこと。MCVは会場を縦横無尽に動き回りながら105ミリ砲を射撃。事前に予想していた以上に次から次へと景気よく撃った。射撃時も車体の姿勢変化はほとんど見られず、安定装置の完成度の高さも伺われた。AAVは12・7ミリ機関銃なので、珍しいものではない。

 総火演では、近年は離島を巡る防衛戦である「島嶼奪回戦」のシナリオになっているが、もともとの目的が「富士学校の学生に火力戦闘の様相を認識させる」ことにあり、一般の観客も観覧することから、“見せる演習”の要素が強い。大隊規模の諸兵科連合部隊が戦うとこれくらいの火力を発揮するのであろうという目安をつかむにはいいのかもしれない。

 その一方でここ数年は島嶼防衛の“本気度”を見せるためか、シナリオがより実戦的になってきた。それが今回初登場した装備に現れている。NEWSのほかには小型の無人機(UAV)「スカイレンジャー」、7月から運用を開始した通信衛星「きらめき」がそれにあたる。この3つに共通する最重要のキーワードは「ネットワーク」だ。

 これらはシナリオの中でどのように扱われたのか。まずNEWSで敵ネットワークを遮断するところから始まる。続いてUAVで情報収集し奪回部隊が攻撃を開始。また敵の電子妨害による通信遮断に対抗して、きらめきの回線に切り替えて通信を確保する、となっていた。この手順は現在の戦術では定石だろう。

 NEWSは73式中型トラックに搭載された電波情報を収集する装置、これを妨害する電波を発進する装置と電源部分で構成される。妨害電波で敵の通信ネットワークを遮断して、電磁優勢を確保することを目的とする兵器。防衛装備庁が2010年から15年まで開発・試験をしていた新電子戦システムが元になっていると考えられる。新電子戦システムはVHF、UHF、S/EHFの帯域とされていたので、広範囲な能力を持つようだ。

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  • ネットワーク電子戦システムの後部左側アンテナ部。右側にも別のアンテナ部がある(撮影・梶川浩伸)
  • 総火演会場の一角に設けられた通信所。現在も近未来の戦争もネットワーク中心の戦いになる(撮影・梶川浩伸)
  • 16式機動戦闘車の105ミリ砲射撃も初公開だった(撮影・梶川浩伸)
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