2018.8.22 12:00

人の温かさ、優しさに包まれる映画「輝ける人生」/週末エンタメ

人の温かさ、優しさに包まれる映画「輝ける人生」/週末エンタメ

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週末エンタメ芸能記者コラム
映画「輝ける人生」のロゴ (C)Finding Your Feet Limited 2017

映画「輝ける人生」のロゴ (C)Finding Your Feet Limited 2017【拡大】

 美人もイケメンも出てこない。アクションもCGもない。主要キャスト3人は英国を代表する名優ぞろいなのだが、顔はシワシワだし、ザッツ!中年体形。3人の平均年齢は63歳で、共演陣もシニア世代ばかりだ。

 だが、映画が始まってすぐ、キャストの年を重ねたありのままの姿にほっとし、物語が進むにつれ、他人への共感力や同情心、思いやりや優しさにあふれた登場人物たちの言動に引き込まれていく。

 舞台は、ロンドンへの通勤圏、英国南東部サリー州。中流階級の人々が住む町で素敵な家に暮らす主人公サンドラ(イメルダ・スタウントン)は、警察本部長だった夫が爵位を授与され、その定年パーティーではしゃいでいる。

 だが、同じ日、倉庫で濃厚なキスを交わす夫と親友の姿を目撃。35年、家族のために生きてきたサンドラは怒りとショックのあまり家を出て、疎遠になっていた姉ビフ(セリア・イムリー)のアパートに転がり込む。

 地元の名士夫人として生きてきたサンドラはビフやその友人たちに対して傲慢な態度を隠さないし、独身で自由気ままに生きるビフの人生を否定する。だが、ビフの誘いで訪れたダンス教室に通い始め、体を動かすことで、かたくなだった心がしなやかさを取り戻していく。

 ビフの親友、チャーリー(ティモシー・スポール)も、男やもめのテッドも、5回離婚した弁護士ジャッキーも、そして姉ビフも…サンドラをめぐる人々はささくれだった彼女を自然体で受け止める。

 彼らがそんな風に振る舞えるのは、それぞれつらい事情を抱えているから。メガホンをとったリチャード・ロンクレイン監督は72歳で、登場人物たちと同世代。だからこそ、人情の機微をうまくすくい上げることができたのだろう。

 さて、ダンスを通じ距離を縮め、お互いにひかれていくチャーリーとサンドラ。ラストシーンで、チャーリーへの愛を確信したサンドラは年甲斐もない行動に出る。その瞬間こそが彼女の本当の人生のスタート。映画の始まりからこのシーンまでが、サンドラがこの先輝いて生きていくためのホップ、ステップだったのだと思い知る。サンドラが何をしたか…。映画館で確認してほしい。(郡司美香)

 25日(土)より東京・シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国公開。

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