2018.7.29 11:00

【大河のころ 中井貴一(5)】別の役者の信玄見ると「なんで俺じゃないんだろう」

【大河のころ 中井貴一(5)】

別の役者の信玄見ると「なんで俺じゃないんだろう」

特集:
大河のころ
「平清盛」で主人公・平清盛役の松山(中央)を支えた父・平忠盛役の中井(左から4人目)と共演の左から豊原功補、和久井映見、中村梅雀=2011年10月撮影

「平清盛」で主人公・平清盛役の松山(中央)を支えた父・平忠盛役の中井(左から4人目)と共演の左から豊原功補、和久井映見、中村梅雀=2011年10月撮影【拡大】

 1年3カ月も撮影した「武田信玄」への思いは今も強いです。他の作品で別の役者が信玄を演じているのを見ると、なんで俺じゃないんだろうと、今でも思いますね。

 時代が違ったら必ず天下を獲っていた人。信玄の寿命が長かったら、信長、秀吉、家康のうちの誰かは信玄で、入る隙間はなかった。それくらい偉大な人物だと思っています。

 その後も、僕は「八代将軍吉宗」「武蔵 MUSASHI」「義経」「平清盛」と4作の大河に出させていただきました。51作目の「平清盛」(2012年)のときは、清盛の父、平忠盛を演じましたが、主役の清盛役の松山ケンイチくんに、「お前に話が来たってことは、51人の歴史の1人に選ばれたんだと。自信を持ってやった方がいい」と話したことがあります。

 僕が主役を演じた「武田信玄」は大河26作目。俳優はきら星のごとくいるけれど、主役を張ったのは前に25人しかいない、自分はその1人に選ばれたんだと思って演じていた当時の僕の思いを松山くんに伝えたかった。

 今、時代劇を連続で見られるのは、大河ドラマくらい。日本のエンターテインメント界に大きな役割を果たしてくれている。今後も時代劇の美しさ、所作、日本人の心はきちっとありながら、新しい大河にトライしてほしい。改革をしながら伝統を守ってほしいです。

 「信玄」の放送当時、視聴者からたくさんのおはがきをいただきました。それをスタジオの前に貼り出すんですが、スタッフの方はいい意見ばかりを貼る。だから僕は、「これでは天狗(てんぐ)になるだけだから、一度、悪い意見を貼ってください」と頼んだんです。

 そしたら、はがきには「中井貴一はキツネ目の男に過ぎない」「なんであいつが主役なんだ」と。2日くらいで「落ち込むから、やっぱりやめてくれる?」と言った記憶があります(笑)。

 でも、いい意見も悪い意見もあって、一流だと思うんです。今はいいと思う人だけが見るから視聴率が低い。視聴者が文句を言いながらも見たいと思う作品を作らないと、いい視聴率は出ない。僕らは、そういう惹きつける作品を作っていかないといけないと思っています。(おわり)

平清盛

 1972年の「新・平家物語」以来40年ぶりに平清盛を主人公にした。平安時代末期、清盛(松山)の生涯を中心に、壇ノ浦の戦いまでの平忠盛(中井)ら平家一門の栄枯盛衰を描いた。源義朝は玉木宏(38)、源頼朝は岡田将生(28)、源義経は神木隆之介(25)が演じた。平均視聴率は12.0%、最高視聴率は17.8%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。

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