2018.7.15 12:00

加藤剛さん、残した俳句に信念を込める/芸能ショナイ業務話

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特集:
芸能ショナイ業務話
亡き父について語る加藤頼

亡き父について語る加藤頼【拡大】

 スポーツ界と同様、芸能界にも求道者のようなたたずまいの人がいるものだ。6月に80歳で死去した俳優、加藤剛さんも、そんな1人だった。

 次男の俳優、加藤頼(らい、37)が加藤さんの死去が明らかになった先日、記者の取材に「父は家にいるときも常に、演じる役と向かい合っていました」と振り返った。「仕事のことが頭から離れなかったのでしょう。しょっちゅう、せりふの練習をしていました。子供のころから、僕はそんな父を見て育ちました」という。

 加藤さんは俳句が趣味だった。頼が最も記憶に残っているのは「虚も実も 合わせ鏡よ 秋のバラ」だという。「鏡の前で自分の顔を見ながら役になりきろうとしていると、虚構の中に入ろうとする自分ともう1人、現実の中にいる自分がいる。その姿を客観的に詠んだのでしょう」と解説する。

 「どちらの自分も大切にしてこそ、役者としての花が咲く。父はそんな風に思っていたのでしょう。と同時に、さまざまな虚実がないまぜになっているのが人生。それを受け止めることが大事という思いも込めたのでは」と分析する。確かに、なんとも意味深い俳句で、この一句を取っても芸の道を極めようとした心意気を感じる。

 加藤さんは酒もたばこもギャンブルもやらなかったが、仕事いちずだったわけではない。家族にもしっかり目を向けていたという。

 「父は海に面した静岡県御前崎市の出身なので、魚をさばくのが上手でした。家にあるもので簡単な料理もパパッと作ってくれたし、掃除も好きでしたね」と頼が意外な一面も打ち明ける。最期を看取った81歳の妻にとっても、手のかからない夫だったのではないか。

 記者も品格のにじみ出るあの演技をもう一度見たかったが、今後は加藤さんの若いころにそっくりな頼と、兄の俳優、夏原諒(43)の活躍に大いに期待したいものだ。ちなみに、頼は8月22日に東京・三越劇場で開幕する舞台「リア王2018」(横内正主演)に出演する。(M)

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