2018.2.27 12:00

ロックの殿堂入りを果たすザ・カーズの80年代サウンドは新感覚にしてなつかしい/週末エンタメ

ロックの殿堂入りを果たすザ・カーズの80年代サウンドは新感覚にしてなつかしい/週末エンタメ

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週末エンタメ芸能記者コラム

 今年のロックの殿堂入りを果たす米4人組ロックバンド、ザ・カーズ。これを記念して、3月30日にレア・トラックや未発表曲を追加したアルバム「シェイク・イット・アップ」と「ハートビート・シティ」の2作を再発売する。

 注目すべきは「ハートビート・シティ」だ。1984年に発売された5枚目のアルバムは、バンドの代表作であり、全米3位と商業的に最も成功を収めた。同盤はある意味で80年代のポップ・ロックの象徴的なアルバムと思っている。

 80年代に入り、巨大産業化した音楽ビジネス。売れることが最優先されるようになり、ひとつの作品に対して巨額な制作費・プロモーション費をかけてくれるようになった。その対価というわけではないが、アーティストはヒットする楽曲を求められるようになり、個性を捨て、ヒット曲作りに励んだ。

 当時のヒット曲の法則は、急激に進化したシンセサイザーを多用した明るいサウンド。さらに、当時開局したケーブルテレビの音楽専門局、MTVで多く流してもらうため、質の高いプロモーションビデオ(PV)を制作することで、売り上げを伸ばしていった。

 PVの質がヒットのカギを握るようになり、レコード会社は見栄えがいいアーティストを売り込むようになった。その結果、60~70年代に活躍した長い髪の毛を振り乱すような硬派で“男臭い”ミュージシャンらの居場所は失われた。

 カーズの中心メンバーでボーカルのリック・オケイセック(68)は、まさに売り手が好むクールで知的なイメージだった。ぜい肉も筋肉もないスラリとした体形と細面に似合うサングラス姿は“新時代”にぴったりな風貌で、少し音程を外し、無感情で歌うスタイルも新感覚ともてはやされた。

 今回、同盤が再発売され、30数年ぶりに聴いてみた。ポップでキラキラしたメロディーと少し音程を外した知的なボーカル。また、システム化したサウンドは明るくて楽しい完成度が高い80年代の匂いがいっぱい詰まっていた。発売当時は最先端でかっこいいと思っていたが、改めて聴いてみると、少し“時代”を感じさせ、なつかしい雰囲気に変わっていた。

 カーズは次作「ドア・トゥ・ドア」(87年)の売り上げが伸びず、88年に自然消滅的に解散。その後、2010年に再結成し、アルバムを1枚発表したが、現在は活動休止中だ。4月14日に米・クリーブランドで開催されるロックの殿堂の式典で演奏を行うかは不明だが、実現したときは完成度の高いサウンドを披露してもらいたい。

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