2018.1.28 11:00

【50歳オッサン記者 新人猟師日記(7)】運も大事だが重要なのは腕 山に銃声響くも鹿は斜面から姿消す…

【50歳オッサン記者 新人猟師日記(7)】

運も大事だが重要なのは腕 山に銃声響くも鹿は斜面から姿消す…

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新人猟師日記
木立の向こうから現れた鹿とにらみ合ったが…逃げられた

木立の向こうから現れた鹿とにらみ合ったが…逃げられた【拡大】

 谷を見下ろす斜面の中腹、そこが1月21日の自分の持ち場だった。配置につくや否や、銃声が響く。無線に「雄鹿、仕留めました」とKさんの声が入る。うらやましい…。待つこと約1時間、谷底に2つの影が走る。鹿だ。距離は約50メートル、その方向はIさんの持ち場で、記者は狙えない。ほどなく、Iさんがそのうちの1頭を見事に仕留めた。

 前週は獲物の姿さえ見られなかった。狩猟には運も必要だと自分に言い聞かせていただけに、撃てない距離を通過する鹿をうらめしく見送った。その数分後だ。斜面の上、木立に枯れ葉を踏む音が聞こえる。一気に心拍数が上がった。約20メートル先に鹿の姿をとらえた。目線が合う。にらみ合いは数秒続いただろうか。ゆっくりと銃を構え、引き金に指をかける。心臓の音が耳の中に響いている。興奮しているのが自分でも分かる。

 「ドーン!」

 山に自分の放った弾丸の銃声が響く。しかし…無情にも鹿は斜面を横切るように姿を消した。

 「すみません、外しました」

 運も大切だが、腕はもっと重要。Kさんは雄鹿に続き、雌も仕留めた。狙いを外さない。

 Iさんの仕留めた鹿を谷から引き上げながら、猟の厳しさを諭された。

 「外したら、どっちに逃げたかをすぐ無線で伝えなきゃ。謝る必要もないし、恥ずかしいことなんかないんだよ。みんなで狙っているんだから、次の人が撃てるようにすることが大事だ」

 この日は鹿3頭、雌の猪1頭。まずまずの猟果だが、われわれのグループはまだ、今季猪を2頭しか捕らえていない。去年までは圧倒的に猪の捕獲が多かったという。鹿に比べ猪の方が多産で、数も増えているはず。

 Hさんは「山にエサがなくなっているんだろう。山より、むしろ里山とか人家の近くに出ているみたいだ」という。

 山を下りると、リーダーのIさんは以前から目星をつけていた場所に向かった。人家はすぐ近くだが「アシ(足跡)がベタベタある、いるぞ」。翌週の猟場が決まった。

 2月1日からはプロ野球のキャンプで東京を離れざるをえない。次回、この新しいポイントが自分には今季最後の猟になる。何としても1頭は仕留めたい。気持ちがはやる。(不定期掲載)

芳賀 宏(はが・ひろし)

 1991年入社。オウム事件、警視庁捜査一課からプロ野球のベイスターズ、ヤクルト、NPB、2003年ラグビーW杯、06年サッカーW杯を担当した“何でも屋”。サンスポ、夕刊フジ、産経新聞で運動部デスクを務め、2016年夏から振り出しに戻って、一兵卒。同年に第1種狩猟免許取得。

  • 電流柵をしかけても田畑には猪は入り込む。こちらは周囲の足跡を探し生息場所を追う
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