2017.12.13 12:00

動物園にユダヤ人をかくまい、300人の命を救った勇気ある女性の感動実話/週末エンタメ

動物園にユダヤ人をかくまい、300人の命を救った勇気ある女性の感動実話/週末エンタメ

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映画「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」で300人の命をつないだ母性あふれる主人公を演じるジェシカ・チャステイン

映画「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」で300人の命をつないだ母性あふれる主人公を演じるジェシカ・チャステイン【拡大】

 青空が広がる中、ワルシャワ動物園を夫婦で営む女主人は、軽やかに自転車をこぎ、優しいほほえみでゾウやライオン、シマウマなどに声をかけながら毎朝出勤する。

 慈愛に満ちた日常風景から始まる映画「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」(ニキ・カーロ監督、15日公開)。冒頭シーンのみ切り取れば、幸福な物語に見えるが、実は第二次世界大戦中、ナチス支配下のポーランド・ワルシャワで迫害されたユダヤ人300人の命を守った夫婦の壮絶な実話を描いている。

 映画「ゼロ・ダーク・サーティ」などで知られる米実力派女優、ジェシカ・チャステイン(40)演じる主人公は、ワルシャワ動物園を夫婦で営む妻、アントニーナ。ある日突然、動物園がドイツ軍に爆撃され、日常が一変。愛を注いだ動物が次々と射殺され、街にはユダヤ人を収容する「ゲットー」ができた。

 夫のヤンは命を張って、ゲットーのユダヤ人を連れ出し、動物園の地下にかくまうことを決意する。覚悟を決めたアントニーナも、ドイツ兵が毎日警備する動物園に、ゲットーから脱出したユダヤ人たちを隠し、不安の中で生きる彼らを、人も動物も分け隔てなく愛する母性で包み込む。

 ユダヤ人を救った偉人といえば、ドイツの実業家、オスカー・シンドラーや日本の外交官、杉原千畝が有名だが、動物園を営む夫婦がユダヤ人300人を救った姿は、決して英雄的なものではない。人を救えば救うほど、助けられない命に自身の無力さを痛感するヤンや、夫の留守中、女一人で“動物園の隠れ家”を全力で守るアントニーナの強さは、苦境を恐れずに夢中で立ち向かった“市井の人”そのものだ。

 ドイツ兵に銃殺された動物たちの死体は、迫害されたユダヤ人の象徴でもある。園内に血だらけで横たわるその姿は、人の殺戮場面よりも生々しく悲しいが、終戦後にワルャワ動物園が再開され、今も続いていることが本当に大きな救いだ。

 2年前、ワルシャワへ行ったとき、戦争で街がほぼ破壊された旧市街を訪ねた。中世の建築物を再建した風景は色とりどりで美しく、現地のガイドは「あえて戦争前と同じ街なみを再現した」と説明してくれた。映画の中で描かれる戦火に燃えた直後のグレーの旧市街は、甦った街やワルシャワ動物園を二度と戦争で壊したくない、というメッセージにも思えた。(大塚美奈)

  • 映画「ユダヤ人を救った動物園アントニーナが愛した命」
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