【神谷八段単独インタビュー】
神谷広志八段【拡大】
隙のない将棋をするなぁという印象ですね。記録が並ばれる、抜かれるというのは色々な気持ちがあります。僕のような凡人が持っているより藤井さんのような天才が持っていた方がいいと思いますが、抜かれたくないですね。
僕はたまたまが続いただけで、大逆転が多かった。なんで勝ったんだろうとよく分からない対局も多かった。藤井さんは多少逆転はありますが、僕なんかより安定している。僕はある一期間を勝っただけですけど、彼はデビューからですから。映画とか、漫画とかを超越した今までにないことを見ている。
陸上でいうと、ウサイン・ボルトを超える存在がこれから出てくると思いますか? 将棋界でも少し前まで羽生(善治三冠)さんがそういった存在だった。羽生さんを超える者が出てこないというのが僕らの共通認識だった。でも、藤井さんには超える可能性を感じる。
僕のときもちょっと騒がれたんですけど、ホコリをかぶった骨董(こっとう)品のような記録が陽の目を見るのは藤井さんのおかげ。将来、天下獲るのは確定したようなもの。これからもっと頑張ってほしい。 (プロ棋士)
神谷 広志(かみや・ひろし)
1961(昭和36)年4月21日生まれ、56歳。静岡県浜松市出身。81年に奨励会で四段昇段。プロ棋士となる。87年に塚田泰明六段の当時歴代最多だった22連勝を塗り替える28連勝を樹立。現在、竜王戦5組、順位戦C級2組に在籍。