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【軍事のツボ】陸自、空包と間違え実包で撃ち合う

【軍事のツボ】

陸自、空包と間違え実包で撃ち合う

特集:
軍事のツボ
89式小銃に使われる実包(上)と空包。今回誤って実包が使われた(陸自北部方面総監部提供)

89式小銃に使われる実包(上)と空包。今回誤って実包が使われた(陸自北部方面総監部提供)【拡大】

 弾が当たらなくて済んだのは、今回の射撃訓練が敵味方に分かれた双方が互いに相手を認識して狙って撃つ形式ではなかったこともあるようだ。

 輸送中に突然襲撃されたという想定であり、こうしたケースでは「ともかく発砲音がした方に撃ち返す」(陸自)という対処をする。敵に向かって1秒でも早く撃ち返して、的の射撃を中断させたり、狙いを不正確にさせないと、こちらの被害が大きくなる。そのために狙いを付けるのは二の次で、とにかく素早く撃ち返す訓練をする。襲撃側も必ずしも正確に狙う必要はない。

 加えて、訓練していたのが輸送部隊だったことも大きな要因として挙げられる。

 北部方面総監部は「今回発砲した隊員は全員、平成27年度の射撃検定に合格している」としており、射撃能力が著しく劣ることはないという見解を示している。しかし、ある陸自幹部は「輸送部隊はもともと普通科ほど射撃訓練は多くなく、一般的に小銃の射撃能力は劣る」と指摘する。

 また別の幹部は「北部方面隊の輸送科は、戦車の輸送任務がやたらに多い。千歳市周辺にある北千歳駐屯地や北恵庭駐屯地などから北海道東部の矢臼別演習場まで、深夜に運ぶ。それで射撃訓練のひまもほとんどない」と語る。輸送距離は直線距離で測っただけでも280キロ程度はある。

 東日本大震災や熊本地震などの災害派遣での活動は頼もしく映る一方で、近年は人が増えない中、国際貢献任務の増加など仕事だけが増えているという声を自衛隊内部でよく聞く。現場に余裕がなくなっているのではないのか。

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  • 1989年に制式化された89式小銃。口径5・56ミリで、弾倉には20発入る(陸自ホームページから)
  • 富士総合火力演習での89式小銃射撃の様子。狙いを定めて的に命中させている(撮影・梶川浩伸)
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