2016.4.8 13:31

若手俳優、野杁俊希に注目/芸能ショナイ業務話

若手俳優、野杁俊希に注目/芸能ショナイ業務話

特集:
芸能ショナイ業務話
赤木春恵の孫、野杁俊希

赤木春恵の孫、野杁俊希【拡大】

 今年初の桜は、明治座3月公演「かあちゃん」の大詰めで、目の覚めるような桜のセットと紙吹雪で一足早いお花見をしました。

 「かあちゃん」は作家、山本周五郎さんの同名小説が原作。長屋で生活する市井の人々と泥棒に入る男を町人から武士に代え、ラブロマンスに石井ふく子さんが仕立て、藤山直美さんと中村雅俊さんら一座が熱演。初日から大盛況のまま幕を閉じました。

 町民に姿を変えた武士、宗像伊兵衛(中村)を迎えにやってきた藩士、滝田を演じた26歳の野杁俊希(のいり・としき)さんは、1シーンの出番でさりげない存在感を舞台に残しました。野杁さんは2014年放送の大河ドラマ「軍師官兵衛」の赤松広秀を演じた経験を持つ若手俳優で、赤木春恵さんの孫だということが判明。

 取材をすると「俳優になることを最初から賛成してくれたのが祖母でした」と赤木さんの一声を心の支えに、同じ役者道を歩み始めたことを話してくれました。

 その野杁さんが心に留めている赤木さんの話を紹介します。

 戦後70年だった昨年、テレビ局の特番に出演したときのこと。「滞在先の満州で終戦になって、これで兵士で戦地に赴いた兄の借金を返さなくて済む、とホッとしたの。でも、それもつかの間でね。ロシア兵が押し寄せてきて、身を守るために髪の毛に粉をはたいて白髪にして、老女のメークをしたのよ」。これまで「戦争のことを思い出すのは辛い」と、家族にすら戦争について語ってこなかった赤木さんの実体験を聞き、衝撃を受けたといいます。

 もう1つは、思うように仕事が進まなかったときの「俳優は40歳になったときに分かる。焦らないで、目の前の仕事に夢中になりなさい」。

 これらの赤木さんの言葉を胸に「かあちゃん」の大阪、東京公演と完走した野杁さん。「もっとたくさん芝居がしたい、という思いも強く残りました。今回の経験を糧に今後の役者人生、精進していきたいと思います。祖母の目の黒いうちに自分の頑張っている姿を見せるのが一番の孝行ですから」とひたむきな野杁さんのまなざしに、赤木さんの面影が重なりました。(くのいち)