2016.1.1 18:00

樹木希林、先輩からダメ出し「CMなんてやってるような役者じゃ」(2/2ページ)

特集:
W杯ニュース
若いころから老け役が多かった樹木希林=昭和50年

若いころから老け役が多かった樹木希林=昭和50年【拡大】

 そのころはね、役者にとっては1が舞台。2がせいぜい映画。で、まあテレビは3番目。森繁さんも本当は嫌がってたんだけど、みんなでおみこしを担いだって感じだった。

 そして4番目がCM。ところが私は邪道の方が好きなので、初期のころからCMをやってたの。みなさんがご存じないような地方のお醤油(しょうゆ)屋さんとか、はんぺん屋さんとか。先輩方には「あんたね、CMなんてやってるような役者じゃだめよ」って言われていたわね。

 〈その後、「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」「ムー一族」と人気ドラマへの出演が相次ぐ。特に30歳前後での老け役は話題を呼んだ〉

 あれはね、たくさんテレビに出てくたびれちゃったから、縁側でひなたぼっこしてるようなばあさんの役にするって、自分で決めたの。楽したいと思ったらとんでもない。そのおばあさんが一番動き回る役になっちゃった(笑)。

 脚本の向田邦子さん、演出の久世光彦さん、それに堺正章さん、西城秀樹さん、郷ひろみさんといったスターたちとわーっと駆け抜けてったって感じね。そのころの向田さんの脚本は隙間だらけで、それを久世さんが「このシーンはあんたが何とか」って、穴埋めみたいにして私らを動かした。それが今の財産にはなってるなと思います。

 ただ私はもう最初から邪道の方だから、いつやめてもいいわよって感じだった。早くちっちゃな家を買ってローンを返しちゃいましょ、なんてね。算数はできなかったけど、ローンの計算はできたのね。(産経新聞[話の肖像画]2015年4月6日掲載/聞き手 藤井克郎)

(紙面から)